※「年に一度のハッピーデイ」の続きになります。まずそちらを先に読んだ方が内容がわかりやすいと、思われます。





「どうしよう」



可愛い雑貨がずらりと立ち並ぶ、学校の近くの女子に人気のあるらしい雑貨屋に俺はいる。


目的はただ一つ。梅子ちゃんへのホワイトデーのお返しだ。



だけど、肝心な事がわからない。



「梅子ちゃんってどんなものが好きなわけ?」



もしお菓子を渡すとしよう。梅子ちゃんはなにが好きなんだ。女の子だから甘いものとかか。


それともアクセサリーを渡すとしよう。ネックレスか、指輪とか。いやいや、指輪は重すぎるだろ。



悶々としていると



「あ、都倉あー」



ひらひらと右手を振りながら俺の元に駆け寄ってくる男、俺の親友。


珍しいねーとけらけら笑うから、ホワイトデーと言うと成る程とにやにやした。



「バレンタインの日ね、梅子ちゃんすんごい必死に都倉の事探してたよ」

「……そう」

「よっぽど渡したかったんだろうねー」



親友の前だからと平静を装ったものの、内心嬉しかった。


と同時に、梅子ちゃんはそんなに頑張ってくれたんだから俺もなにか良い物を贈らなければ、と少々焦った。



「どうしよう」

「あ、迷ってんの?」



これなんかどう。と目の前に置いてあったパーティー用メガネをかける。


他にも、カツラを被ってみたりドクロの付いたゴツい指輪をはめてみたり。


しまいには「ノートきれてたんだ」と言って自分の買い物を始めるしまつ。



「アイツ当てにならないな」



ふっと当たりを見渡した時、何故か目に飛び込んできたそれ。



「ヘアピン、か」



いつも前髪を流して黒いピンで留めている梅子ちゃん。


俺が見つけたそれを付けている梅子ちゃんを想像すると、無意識にレジに並んで買っていた。



「絶対、似合うだろうな」



無意識に発した自分の言葉に、驚いた。



present for you.


喜んでくれると、いいな。




HP : 赤いお部屋 / れッと

蝶々くらべ様 提出