「貴女に逢えて嬉しいです」




初対面でいきなりこんな事を言われて戸惑わないわけがない。




「えっと……」


「僕、ずっとずっと貴女のファンなんです!」




いやいやファンって……。


あたしは別に、芸能人でもなければ学校のマドンナというわけでもない。




「美鈴さん!」




うわ、名前も知っているのか。


人間違いではないって事かしら。




あたしを見つめる男の目は、それはもうきらきら輝いていて。


何を考えているのかも何がしたいのかもわからないけれど、悪い人では無さそうで。




「君の名前は……?」


「ミノルです! 真実の実で実です!」


そう言った実くんの笑顔もまた、きらきらと輝いていた。








「そんな事もあったねー」


「ねー」




隣に座る実の頭を肩に乗せながら、昔の事を思い出していた。



「いつの間にこんな甘えたになっちゃったのかねー」


「ねー」




あれはもうずっと前の事なのに、実のきらきらした目や笑顔は変わらなくて。




そんな実に惚れているあたし。


今ではあたしの方が実のファンになっちゃったんじゃないかと思う。




「ねえ実」


「なにー?」


「あたしもね……」


「うん」


「実に逢えて嬉しかったよ」

君と出逢えたこのキセキ






HP : 赤いお部屋 / れッと

蝶々くらべ様 提出