short | ナノ


▼おしおき?

※裏注意





「い…イタチ?」
「なんでいつも、そうやって俺を困らせるんだ」
「え?何言ってるの、やっ!」

何言ってるもなにも、ないだろう。
そう呟きながら、彼は目の間の女を押し倒した。





事の発端は数分前に遡る。

久々の2人でゆっくりできる休日、イタチは正直朝からずっと部屋で一緒にごろついていたかったのだけれども、暁の家事をこなしているなまえはそうもいかず、休日くらい家事も休んだらどうかと言う彼の提案を苦笑いでかわし、すぐに片付けるから、と部屋を出ていった。なまえからしたら、今日休んだ分を片付けるのは明日の自分、休んだ分だけ自分の負担になるのは分かりきっていたから嫌だったのだ。
まあ、洗濯物を片付けるだけだと言っていたから30分もかからないだろう、そうたかをくくっていたけれど、彼女は1時間経っても戻ってくる気配がない。仕方ない、飲み物を取りに行くふりをして様子を見に行こうと思い、部屋の扉を開ける。廊下に出た瞬間、鼻腔を掠めるコーヒーの香り、居間から聞こえる彼女の笑い声。なんだか嫌な予感がする。足を踏み入れた先には、居間にいる面々にコーヒーを淹れている彼女の姿。別に、なにも悪いことじゃない、時々見る光景なのに。なのにその時ばかりは胸に沸々と黒い感情が湧き上がるのが自分でもはっきりと分かった。
今日は。今日だけは。自分にとっては何よりも楽しみにしていた日だったのに。

「あ、イタチ、イタチも飲む?」
「……」

気付いたら、なまえの腕を掴んでその空間から引きずり出していた。困ったような顔をして名前を呼ぶ彼女を部屋に押し込んで、冒頭のやり取りに戻る。
心なしか潤んでいる目、何か言いたげなその口を口で塞ぐ。舌を絡めとってちゅうと吸えば、身体がびくんと震えた。いっそもうこのまま最後までやってしまうか。そう思いながら服に手をかけた。

「待って、イタチ」
「俺が今日どれだけ待ったと思ってる…」
「ごめんなさい、でもこんなの、ああ!!」

服の上から双丘の頂きを強く摘んで転がせば、面白いくらい跳ねる身体。剥がした衣服を床に投げ、今度はその頂きを柔く吸う。力ない両手が、髪をくしゃりと掴んだ。
右手の指で、下着の上から割れ目をゆるゆると撫ぜれば上がる呼吸、じんわりと湿っていく布が、彼女の快感を表しているようで嬉しい。なまえのいいところは全て知り尽くしてるんだ。そう言わんばかりに、ずらした下着の奥にある穴に指をいれた。

「んっ!んん、」

塞いだ口の端からどちらのものとも言えぬ唾液が伝い落ちる。徐々にびくびくと跳ね上がってくる膝の裏を掴んで両足を開き、自分の身体を割り込ませた。1本しかいれていなかった指を2本に増やし、親指の腹で蕾をこねれば腰が浮く。逃げる腰を左手で押さえつければ、いやいやと顔を振って口づけから逃れた。

「それ、やだ…っ」
「こんなに濡らしておいて、どの口がそんなことを。」
「それは、それが好きだからじゃなくて、…イタチのことが…好きだから」
「え?」
「イタチになら、キスされただけで濡れちゃうよ。」

首に回された腕、引き寄せられるがまま唇を寄せれば、遠慮がちに小さい舌が割り入って歯列をなぞるように舐める。
ああ、確かに、わからんでもない。

「…ごめんね。イタチ…待っててくれたのに。2人でゆっくりしたかったんだよね。」

そう言って一生懸命にキスを寄越す彼女に毒気が抜かれていく。若干不服な気もするけれど、今その目が写しているのが自分しかいないなら、それでいい。絡みつく舌に応えながら、熱く潤う中心に楔を打ち込んだ。

「あっ、あっ」
「は、っあ」

ゆっくり根元まで押し込んで、ギリギリまで抜いて、また根元まで押し込んで…シーツを握り締めて顔を歪める彼女を眺めながら腰を振る。時折なにか言いたそうな顔をするけれど、それに気づかないふりをして右足の太ももの裏を掴んで上に上げた。より一層奥まで繋がった快感に、か細い声が鳴る。ああ、久々だったせいもあってか、なんだかんだ自分も限界が近い。一気に動く速度を速めると、彼女は驚いたように目を見開いてこちらを睨みつけた。でも、もうそんな余裕無いだろう?

「や、だ、」
「どうして…くっ」
「いっちゃ、あ、あ、んう!」

無理矢理キスで口を塞いでがむしゃらに腰を打ち付ければ、すぐにいくことはわかってる。案の定、暫くして少し力抜けたその身体を追うように最奥で白を放つ。全てを搾り出すかのように緩い律動を繰り返せば、それに反応して微かに震える腰。腕を引かれるまま上体を倒すと、唇が重なった。
ひどく安心する。

「イタチってば、ずるい」
「心外だな」
「だって…絶対わかっててやってるでしょ」
「…よかっただろう?」
「…」

どうせ、また頬を膨らませて馬鹿だのなんだのと言って暴れるんだろう、まあ、それもまた可愛らしいけれど。
だが、そう思っていた矢先、予想に反し顔を赤らめて抱きつく彼女に目を見開く。なんだ、思った以上に今日は素直だ、少々好き勝手にやりすぎたかと怒られるのを覚悟していたくらいだったのに。

「…もっかい、」
「え?」

聞き間違いかと、もう一度聞き返してはみたけれど、それよりも先に反応してしまった未だ繋がったままの自分の下半身に嗤う。
顔を更に真っ赤にして首に腕を回してきた彼女に深く口付ければ甘い声が返ってきて。
俺はもう我慢ならんとばかりに、また思い切り腰を打ち付けた。


おしおき?

(珍しいこともあるもんだな)
(私だって、最近忙しくて寂しかったのは同じだもん)


20140813

   

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