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▼おひなさま

(現代パロ)
※裏



「なんだこれ、お前にしては珍しいことしてんな」
「たまには良いじゃない、女の子の日なんだから…」

私たちが住んでいるアパートの玄関の下駄箱の上にちょこんと飾られているお雛様を指さして、サソリは不思議そうに私を見た。
そりゃ、たしかに普段季節のイベントってあんまり乗っからない私だけど、クリスマスとかバレンタインとか大きいのには力を入れているはずなんだけどな。これでも。
ああ、でも確かにクリスマスツリーをこうして飾ったことはなかったかもしれない、そう思い直して私はサソリに感心した。ほう、確かに珍しいことかも。
と、思ったらなんだか急に恥ずかしくなってきた。
これじゃまるで今日は私を労われと言っているようなものじゃないの。
いや、実際はそんなことこれっぽっちも思っていないし、ただお内裏様とお雛様が可愛いから飾っているだけ…なんて言い訳をしたところで余計に馬鹿にされるのは目に見えているから言わないけど。

「ふーん、女の子の日、ねえ」
「な、なによ、私だって生物学的には女だもん」
「誰も女じゃねえなんて言ってねえだろ、…逆に男だったら俺の立場どうしてくれんだ」
「…ゲイ?」
「冗談じゃねえ」

そう言って彼は私の腕を引いてベッドになぎ倒す。
だいぶ強引だなあ、そういうの嫌いじゃないけど。
少し深めのキス、あっという間に夢中になって私はサソリの首を抱く。必死に舌を追いかけているといつの間にかたくし上げられた衣服、そこから双丘がこぼれる。
ハッと気付いたときにはすでに彼の指がその頂の先をつまんでいた。

「んっ、ちょ、っと、まだ昼間なのに!」
「だからこそだろ、」
「意味わかんな…っ!」
「俺がゲイじゃないっての証明しとかないとな」
「ひあっ、」

ずぶり、サソリの指が私の下半身へ挿し込まれる。それはぬるぬるとゆっくり抜き差しを繰り返しながら私から正常な思考回路を奪っていった。もう彼の首を抱いてか細い喘ぎ声を漏らすことしかできなくなっている私を見て、彼は心なしか満足そうにキスをよこす。
ああ、もうこうなったらどうにもできない、完全に彼のペースだ。
とっぱらった薄い壁、なんの妨げもなくなった私たち。
彼の吐息が色づき、私の秘部には指より質量の多いものがあてがわれ、それは一気に私を貫いた。
同時に目を瞑る。ゆっくり押し入るそれに腰が震える。耳元で深い呼吸を繰り返す彼が愛しい。ぐぐ、っと奥まで入った男根に声を上げそうになった瞬間、私の口は口で塞がれた。

「んっ、ん、んぅ」
「きもち、い…やばい」

ずっ、ずっ、

深く強いピストン運動に私はもう声すら出せず必死にシーツを握る。
今がまだ昼間なこととか、部屋が明るいなんてのはもうどうでもいい。
サソリと触れ合っているところ全てが暖かくて、気持ちいい。
いつまででもこうして繋がっていられたらいいのに、そう思えるのは、私が今この行為に酔っているからだ。
彼の呼吸が浅くなり、腰の動きが一層激しくなる。抱き締められて近づいた顔、耳元で囁かれる言葉が一体なんなのかは私だけの秘密。





「…あれ、いつ片すんだ」
「んー、可愛いし春っぽいから…今月いっぱいとか?」
「はあ?お前何言ってやがる、ふざけてんのか?」
「ええ!?なんでそんなこと言われなきゃなんないのよ、」
「そんなんで行き遅れても知らねえぞ」
「…あら、そんな迷信信じてるんだ」
「…」
「私、行き遅れちゃうのかな?ねぇねぇサソリ、どう思う?私って行き遅れるの?」
「…っう、うるせぇ!女は黙って待ってりゃいいんだよ!」
「ほおー…、」
「…安心しろ、そのうちもらってやっから」

はは、こんなやり取りがまたしたいから、やっぱりお雛様はしばらくしまわないでおこうか。

「サソリ、だいすき!」


期待するよ、私。



おひなさま

(うわ、こいつお雛様拝んでやがる)
(良いでしょ、今日くらい!)



2014/03/04

1日遅れてしまいましたが…
祝・ひなまつり!笑

   

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