sent to you



「ねぇ、たまにはイタチからメールちょうだい。」

上目遣いで、珍しく俺に頼み事をしてきた可愛い彼女。いつも俺が仕事で忙しいのを察してくれているのか、普段は向こうから送られてくるメールを俺の気が向いたときに返信するスタイルだ。だが、今日は土曜。俺は休み。彼女は休日出勤。昨夜久々に一緒に呑んだときに、酒で酔った勢いもあったのか冒頭の台詞を俺に言った。しかし俺はまだ彼女にメールを送ってはおらず、携帯電話のメール新規作成画面を開いたまま無駄な時間を過ごしている。そうこうしているうちに時刻は午後15時30分過ぎ。今日が休みと言えど、流石にこんな夕方までメールを待たせている自分をどうかと思う反面、やはりどういう内容のメールを送ったら良いのか分からずに悩んでいた。でも、だからと言ってこれ以上彼女を待たせるのはもっといけないことだ。

彼の指が、ようやく携帯電話のボタンを押し始める。


『送信完了』


数分後、彼女から嬉し涙混じりの電話が俺に届いた。たまにはこう言うのも悪くはないな、と微笑みながら、今夜のために俺は部屋の掃除を始めることにする。



Sent to you

『いつもありがとう。俺は改めて、毎日送られてくるお前からのメールで、日々頑張れているのだと感じた。これからも、よろしく。』




(2012/05/29)

拍手お礼夢


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