流星happiness



紫亜様へ 18300Hit記念



好きだけじゃ叶わないことって、あると思う。私はそう思いながら今日もあの人とアジトの中ですれ違えるのを楽しみにしている。すれ違うだけでいい、それだけで、今日1日中幸せでいられる気がするの。そんなジレンマを抱えながら、私は結局のところ何かを期待している。


「…はぁ…」


今日は会えなかった、か。長い廊下を歩き終わった私は溜め息をついて部屋のドアノブに手をかける。すると後ろから聞き覚えのある声が私を追いかけた。


「○○、」
「い、イタチ?」
「頼みたいことがあるのだが…良いか?」
「もちろん。」
「コートのボタンが取れてしまったから付け直してほしい、○○なら出来ると思って…」
「大丈夫よ、やったげる。」
「じゃぁ、今日中によろしく頼む。」


そう言うと、イタチは私にコートを手渡して踵を返し、自室へと歩き出す。私は部屋に入った瞬間に彼から預かったコートへ顔を埋めて小さな歓声をあげた。誰に何と言われようとも気にしない、私は今この上ない幸せを手にしている。私は直ぐ様それにボタンをつけ、ついでにほつれなんかも直してイタチの部屋へと走った。震える手で3回ノックをして、彼が出てくるのを待つ。


「…○○…?」
「あ、あの、これ!」
「もう直したのか?」
「うん!」
「すまないな…ありがとう。」
「ううん、丁度暇だったから。」
「なら…上がっていくか?」


そう言って引かれた腕、私はそのままイタチの部屋に吸い込まれるように入り、驚いて上を向くと彼の唇と自分の其れが丁度重なった。驚いて目を見開いたけれど、彼はお構いなしに口付けをどんどん深くしていく。とうとう息が苦しくなって口を開けると、彼は小さく笑った。


「驚いたか?」
「そりゃぁ…もちろん。」
「素直な奴だな。」
「イタチこそ、なんでこんなこと…」


顔を真っ赤に染めながら言うと、あなたは自信満々に私にこう告げた、


「○○は俺のことが好きだろう?」


驚きの問いかけに迷わず肯定すると、また深い口付けが降り注ぐ。私は本当の幸せをたった今手に入れたのかもしれない。


happiness

(流れるように降り注ぐ、幸せ)


2009.4/13
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thank you!! :)



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