上続き ガラガラガラ 引き戸を開く音と共に出掛けていた新八が顔を出した。 「ただいまー。あれ、神楽ちゃん?誰と電話してるの?」 間の抜けた新八の声に残っていた場の雰囲気が弾けるように霧散した。 新八が帰ってきた事で銀時も安心したのか、既に電話は切れていた。 「死ねや、メガネ…」 神楽怒りの鉄拳炸裂! 哀れ、メガネは床に沈んだ。 「テメェの性で電話が切れちまったじゃねぇか!折角、銀ちゃんとのラブい雰囲気がぶち壊しネ!」 「え、や、どうゆう事!?何、そのラブい雰囲気って!??相手銀さんなんでしょ!?何を話してたの!??」 「ううぅ…ぎ、銀ちゃんの嘘つき…もう離れないでって言ったのも嘘だったアルか?」 何があったのだろうか。 いきなりの展開についていけずにあたふたしてしまう。 涙に明け暮れる彼女の表情は本当に悲痛で、それだけを見ていると訳が分からないながらも自分が悪かったのだと謝りたくなってしまう。 とりあえずは、何故か握りしめている空の菓子折りの箱を手放させ、落ち着いてと彼女を椅子に促した。 「ねぇ、何があったの?僕で良ければ話を聞くよ?」 新八の優しく神楽を思いやる言葉に、彼女も少し落ち着いたのか顔をあげた。 「新八には関係ないアル…。これは私と銀ちゃんの問題ネ。だから銀ちゃんが帰って来たら、話すアル…」 新八の心配する様子に関係ないと強く突っぱねる事も出来ずに、銀時が帰ったら話すと付け加えると、口を閉じて後ろを向いた。 これ以上聞いても、彼女は何も話さないだろう。 今はそっとしとこうと新八は台所へと引っ込んだのだった。 続く (11/65) |