台詞にのせて小説を書いてみる?バトン…銀神?シリアス→ギャグ いくつかの台詞にのせて小説でも書いてみませんか? まとめて長い小説にしても良いし、一つの台詞ごとに独立した小説を書くのも良いと思います。***** 1、「どこにも行かないで」 2、「ずっと待ってる」 3、「今、誰といる?」 4、「そばにいて…」 5、「……ごめんね」 6、「…許して欲しい」 7、「約束をしよう」 8、「好きだよ」 9、「もう、離れないで」 10、「今まで……ありがとう」 ***** 想像以上に悲しいお題台詞に…。 好評だったら甘いのでリベンジをしたいです。ありがとうございました。 お題主様、登場人物に合わせて言葉尻を少し変えさせていただきます。悪しからず。 ここは歌舞伎町、万事屋の事務所兼リビング。 そこにはただならぬ雰囲気を醸し出し電話をする少女、万事屋の従業員神楽が立っていた。黒電話を片手に相手に話し掛ける彼女以外にはここには居ないようだ。 「どこにも行かないで」 辛そうに顔を歪めて、神楽は下を向いていた。 「お願い…そこから動かないでいてよ」 切ない顔をあげた彼女は、視線をさ迷わせると机に視線を落とし、苦しさに耐えるかのように顔をくしゃりと歪めた。 「大丈夫、大丈夫だから。まだ俺はここにいるよ」 いつも飄々(ひょうひょう)としている電話口の相手である坂田銀時も、常とは違う彼女の様子に声を和らげ話しかける。 はっきり言うと調子が狂う。だけど、電話越しでも伝わる彼女の辛そうな声に、彼も普段より優しく、諭すように話し掛けていた。 「だから、俺が帰るまで待ってろよ。近い内に、いや早く終わらせて帰るから。だから待ってられるよな?」 神楽はいいこだもんな。だから待てるよな、と子供を諭すように優しく暖かい声が耳に響いた。 普段の彼女なら、子供扱いするなヨ!と怒る場面も、今の精神状態では「バカにするなよ…」としか返せない。 「ずっと…待ってる」 いつもは明るい声も、今は小さくかすれている。心なしか握られた拳も白く震えているようだった。 そんな彼女に不安を抱いたのか、銀時は口を開いた。 「今、誰といる?」 頼むから誰かといてくれと、実際には言ってはいなかったのに、何故かそう聞こえた様な気がした。普段から無駄に口数が多いい銀時も、肝心な時には言葉を隠し出してくれない。優しい言葉が欲しい時もある。もっともっと自分を想って語りかけて欲しいとも思う。 それでも、その短い一言に安心したのは、長年の付き合いからか自ずと伝わる彼の彼女を労る不器用な優しさが胸に広がったからだ。 「私一人アル」 けれど、やっぱり欲しい物は欲しい。 「そばにいて…」 心をめぐる色々な感情に彼女の頭は混乱し、すがる言葉を吐き出した。電話越しでもいい、側に居てくれないと堪えていた物が溢れだしてしまいそうだった。 「……ごめんな」 悪い、俺が本当に悪かった。だから堪えてくれ。 続いて聞こえた彼の言葉に、彼女は黙りこんでしまう。 「…許して欲しい」 それでも、無理だと駄目だと言うのなら 「約束をしよう」 大切な大切な約束だ 彼がそっと口を開いた。 そしてささやかれた約束事。 彼女はその言葉に頷くと、未練を断ち切るかのように机に目をやり、「好き」と最後に事実だけを告げるかのように呟いた。 「もう、離れないで」 こう言ったのはどちらだったか。二人の気持ちが同調したように発せられた言葉に、沈黙が辺りを包んでいた。 「なぁ、神楽。もう大丈夫だよな。俺もそろそろ行かなくちゃいけな」 そう銀時が話し始めた時、重い空気を霧散させるかのように部屋の扉が開かれた。 続く (10/65) |