上続き

「聞いたぜ?お前の話とやらをよ」

「げっ!何でここに土方が居るんだよ!?」

「俺が連れて来たんでィ。答え合わせのために、こっそりチャイナに盗聴器を仕込んで、土方さんと聞きながらここに来やした」

「なに?総一朗君は俺に何か恨みでもあんの? 俺さんざんコロ助に優しくしたよね? 感謝されこそ、恨まれるなんてお門違いなんじゃねぇの?」

「俺が旦那を恨むだなんてあり得ませんって。ただ、少しでも巡回に面白みがあったらと思っただけでィ」

「激しく突っ込みたいところだが、今はこっちだ。おい、万事屋ぁ!お前デタラメ言ってんじゃねぇよ!」

「んん?じゃあ違うアルか?銀ちゃん、ウソ言ったアルか?」

「いや、効果音に関しては違わねぇが、状況説明が都合良過ぎるんだよ!」



――――回想――――

「女に恥をかかせないで下さい」

頭上に暗雲が立ち込め、ニコニコと笑顔で言われては、怖いものなしと思っていた銀時も高速で首を縦に振ってしまう。
ザッと力強く砂を踏みしめ去って行く姿は、男らしいとしか言いようがない。
とにもかくにも、それだけで帰ってくれた事に安堵した銀時は、近付く気配に気付かなかった。

ズズ…ン

身の危険を感じつつも、知った気配に銀時は振り返った。
鬼の形相で歩いてくるのは多串君。別名、土方君とも言う男だ。何か奴を怒らせる様な事をしたんだろうな。心当たりがあり過ぎて正直何が原因か分からないわ。
奴が何かを話そうとした時に、遠くからドドドド、と地響きがなった。
またもや面倒臭そうな気配がする。

ああ、来ちゃった。


ドカンッッ!!!

「…っ!?」

着弾した音の後に煙りが立ち込め、バタンと人が倒れる音がした。
地響きと共に現れた奴は、覆面を被っていて顔が被われて分からない。
背格好から知り合いに似たようなのが居た気がするが、気のせいだろう。
街中でところ構わずロケットランチャーをぶっ放す野郎なんて、お知り合いに居るなんて考えたくもない。
因みに、対象物は問題に入れてはいない。お好きなだけどうぞ、だ。

「…ツ、」

「何だって?聞き取れねぇよ」

何か言おうとしている。奴の今生最後の言葉だ。立ち会った者として聞いてやろう。
力尽きたのか、気を失ったのか、土方はピクリともしない。

「おい、死ぬな。死ぬんじゃねぇ」

沈黙したまま何も返さない土方。

「くそぅ、誰だ。コイツをやったのは。多串よ、安心しろ。俺が仇を打ってやるからな」

台詞を読み上げるように話す銀時は、一度言ってみたかったんだ〜と気の抜けた声をあげた。
最近、テレビで刑事物のサスペンスか何かを見たのだろう。
暇をもて余してた銀時は、たまには犯人とやらの遊びに付き合ってみるかと、足を踏み出した。

グチャアッ

あ、ヤベェ。踏んじまった。
あれよ? 刑事ゴッコが楽しくて奴の存在を忘れてたとか、そんなんじゃないからね。
ほら、早くしないと犯人に逃げられちまうし、慌ててたんだよ。
故意じゃねぇし、事故だよ事故。

ブチ

あ、これは本当にヤバイかも。感覚的に、肉が断絶された音っつーか。
筋がいっちゃった音っつーか。

ええっと……うん、ゴメンネ?

それなら何で踏んだ後に態態乗り上げたのか。
断絶音だって、すぐに足を退けてさえいれば鳴らなかったはずだ。


ピンッ

これは手榴弾か何かのピンが抜けた音か?

ぷちぷち

続いて判断が難しい音が微かに耳に届いた。
方角的にすぐそこの角を曲がった辺りだろうか。


ポンッ

何かの破裂音にしちゃ、ずいぶんとファンタスティックな音だなぁ。
魔法少女でも居るってか?


てててっ

うわっ!分かっちゃった!!
この普通じゃ出せない独特な足音を鳴らせるのは特定の人物しか浮かばない!
タラちゃん、イクラちゃん、コロ助だ!
このいづれかに違いない!
そして、もう1つ外しちゃならねぇポイントがある。
犯人は腰に刀をぶら下げていた。
よって、刀を常にもつ『コロ助』が犯人と見て間違いないだろう。
手に顎を乗せて探偵気取りに考えていた銀時は、「ふふん」と得意気に笑った。

「にしても、コロ助君、アイマスクを止めて覆面にするなんて趣向が変わったんかねぇ?」

すでに犯人の正体が分かっているかのような言葉を残し、銀時は犯人を捕まえるべく歩き出した。



続く


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