隣を歩く人をちらりと横目で見てから下へ自分の足を見つめる、何度繰り返した頃か漸く声が聞こえた。


「あのさ、高尾と学校行けるとかすげえ嬉しいんだけど」
「まじで?そんな事言われたら照れるんだけど」
「照れんの…ちょっと脈絡ありと思っていい?」
「ぇ、直球だな。まぁ好きに捉えて」


声が聞こえる高さがいつもと違う事に違和感を覚えるのは身体だった。そんな事は一切表に出さず本当に嬉しそうに笑う男と会話を続けて、特に大した内容では無いけれど冗談を言って笑える。ふとまた緑間が浮かんで。真ちゃんとじゃしない話しだなと思った。


「高尾…名前で呼んでもいい?」
「へ、名前?」
「そー、和って」
「おぉ、いいね!じゃあオレも…。悠斗だから、悠ちゃん?」
「おう」

まだ静かな下駄だからか余計に縮まった距離に自然と息が詰まる。さらりとその手が髪を撫で頬に触れていった。真ちゃんみたいなあだ名を付けて、今も一瞬撫でてくれたのが真ちゃんだったらと考えてしまう。無意識に動く脳内に自分でも驚き思わず口を開いた。

「ぁ…」
「和、あのさオレほんとにお前の事好きだから」
「うん…あのさ、その事で言おうと思ってたんだけど」


彼の耳に届いた言葉が酷く脳を焼いていく。







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