午前1時のコール


「あ、もしもっしー!しんちゃーん?」

「……」

「なー、聞いてんだろ?」

真ちゃんってばー、電話越しのいつもと少し違う高さの脳天気な声。

「高尾…」

「なに?」

「なに、じゃないっ!!一体何時だと思っているのだよ!」

「1時」

「いつの、だ」

「夜中の」

「ふざけるんじゃないのだよ!」

夜中に電話を掛けてくる奴があるだろうか。時計の音が響く部屋の中。緑間の大きな声がする。

「切るからな」

「や、まてって! オレまだなにも話してねぇよ」

「何なのだよ! 眠いんだよこっちは! 早くしてくれ、目が、頭が、身体が、限界なのだよ!!」

「あのね…」

「…」

「特に用はない!! あはは、いやーなんとな…」

ぶちっ。途中で電話を切ると布団に潜り込む。まったく非常識な奴め。もう知らん、寝るのだよ。

プルルン、プルルンプルルルルルン、

「っ〜〜、」
 
あぁ、もう

「うるっさいのだよ、なんなんだ!!」

「途中で切んなよ!!」

「限界だと言っただろう、もうほんとやめてくれ」

「人事を尽くせよー、電話を最後まですることにさ」

「そんなことにいちいち人事尽くしてたまるか!! 信じられん、まじでなんなのだよ」

「真ちゃんのキャラが、ぶふっ」

「いい加減にするのだよ!」

「うわ、耳元で叫ぶなよ!」

「はーっ、高尾お前覚えてるのだよ! 明日は寝かせんからな!!」

「え、寝かせてくれないの? 真ちゃんったら大胆」

「違うのだよ! 明日お前にも電話掛けてやるのだよ、思い知るが良い眠れない辛さを!!」

「はは、そう怒んなって。真ちゃんの声が聞きたかっただけなの」

「なっ!? ふ、ふん、そんなの知らんのだよ…もう寝るから掛けてくるなよ」

「分かった…じゃあ」

「……」

「…」

「真ちゃん切んねぇの?」

「お前から切るのだよ」

「真ちゃんから切ってよ、早く寝たいんでしょ」

「掛けてきたのはお前だからお前から切るのだよ」

「じゃあ切らないよ、いいの?」

「知らん」

「えへへ、真ちゃんったら」

「笑うな」


声が聞きたかっただけ、そう言われて満更でもなかった午前1時。













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