文 | ナノ

ぱしゃり、と音を立てながら高尾は水面を叩く。ちょっとした冗談のつもりで緑間に一緒にお風呂入ろうよ、と言った自分に後悔しながら溜め息をついた。
いやいや、まさかあの緑間が了承するなんて。誰が思うだろうか。誘ったのは自分なのだけど、さっきから何とか落ち着こうと思うが思考が上手く回らない。

あぁ、もう。口でぶくぶくと泡を作りながら高尾はちらりと身体を洗っている緑間へと視線を向けた。自分より広い背中。
相変わらず綺麗な肌を見て何だかいけないものを見てしまったみたいに顔を逸らした。

普段から緑間に軽率だとか言われている時はそうでもないだろと返す事があったけど確かに自分の軽はずみな一言で今の事態に陥っている訳だから納得しざるを得ない。

「高尾、もう少しよれ」

「へ、あ、うん…」

少し後ろに隙間を開けると緑間が入って来てそれと同時にお湯が湯船から溢れ出ていった。ざば、と音がしてお風呂に入ってるって感じがする。後で緑間が息をついた。

「はぁ…」

「何疲れたの?」

「いや」


あ、なんかこれいい。2人で入るとさすがに少し狭く緑間の足の間に収まるような形になってしまってなんだかすごくこう、恋人っぽい。まぁ気恥ずかしいけど真ちゃんとお風呂に入りたかったから嬉しくてしょうがない。
さっきまで後悔していたのが自分でも嘘のようにいつもの調子を取り戻した自分に苦笑する。あ、こういうとこも軽率なとこなのかな、でも真ちゃんとラブラブしてんだからしょうがないか。

「泡風呂したかったな」

「それならまた今度で良いだろう」

「あれ?また入ってくれんの」

「お前が入りたいのならな」

すっと回って来た腕に顎を捉えられそのまま上を向かされると柔らかくキスされる。ぽかぽかになった身体がさらに熱くなって高尾は緑間にしがみついた。

「ん、…」

濃厚なキスってわけじゃないけど啄むようなそれは気持ち良くて熱が広がって行く。


「おい、高尾」

「んー、なに?」

「顔が真っ赤だぞ。そろそろ出るか」

逆上せてしまうからな、と言って緑間は高尾を抱き上げて湯船から出る。

そろそろ逆上せそうだったけどオレとしてはもうちょっとこのシュチュエーションを楽しみたかった。

「次は泡風呂だね。あ、でも花浮かべんのもいいかも」

「どっちでも好きにすれば良い」

「え、んじゃ次が泡でその次が花な。ってなると確実に後2回は一緒に風呂入んなきゃな」

「ふん。そのかわり、次はあんなキスじゃすまさんからな」

「えっ、マジ」

それは楽しみだわ。



2013/03/26

お風呂でラブラブチャリア




 
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