Sleep



私が小さい頃。
日に干した布団が大好きだった。
独特の暖かさと、いい匂いの柔軟剤は私の眠気をよく誘った。


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「名前、ここで寝るな。」

「…うっ。」

無防備だったおでこを一発はたかれて目をうっすら開ける。
開けた先には眉間にシワを寄せた旦那様がいて、申し訳程度に笑って見せた。
旦那様はため息を吐きながら、私の肩にブランケットをかける。

「ありがとう。」

「次は無いからね?」

満面の笑みで言う旦那様に苦笑いしながら、ブランケットを掴み起き上がる。
その時に何気無く差し出された手に、少し照れながらも握り返す。

「…紳士な征十郎…。」

「惚れ直したかい?」

そう言うと私を抱きしめながら、さっき叩いたおでこに軽くキスを落とす。

「…それに、お前だけの体じゃ無いだろ?」

私のお腹にそっと手を当てながら、幸せそうに笑う征十郎に、私の胸のあたりがきゅーっと鳴った。
あったかい征十郎の服からは、お日様と同じ匂いがして…それもまた、私に幸せをくれた。

「せーじゅーろー。」

「なんだい?」

「一緒に寝よう?」

そう言うと彼は困ったような嬉しいそうな…、どちらとも言えない顔をして私の顔を見る。

「こんな時間に寝たら夜眠れなくなるだろ?」

「その時は征十郎とお話しするもの。」

「明日、仕事なんだが…。」

「征十郎なら大丈夫よ!」

そう言うと軽く笑って、諦めたような顔をする。
すると不意に体が浮いたのがわかった。

「ちょっ!!征十郎!!」

赤くなりながらバタバタすると、征十郎は笑いながら廊下を歩いていく。

「相変わらず初心だね。それ以上の事もしてるのに。」

「それとこれとは話が違う!!」

そう言っても離さない征十郎に、私は諦めて下を向く。
昨日干したばかりの布団の上に置かれて、隣に征十郎も寝転がる。
色の違う双方の目はしっかりと私の方を見ていてそらせない。
そんな私の心情を受け取ってか、征十郎は私の顔にキスを落として行く。

「あんまり見つめられると僕だって照れる。」

そう言われて私が笑うと、征十郎も笑ってくれた。

お日様の匂いが広がる部屋で、私達は幸せを噛み締めた。




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