Friend



『大きくなったら順平くんのお嫁さんになる!』


なんて言っていた1つ下の泣き虫な幼なじみは、透明少年こと黒子と同じ身長で同じクラスなのだと言う。
特にスポーツはしていない。マネージャーやればまた、順平君やリコちゃんのそばにいられるかなと思って、と無邪気に笑うその笑顔にはまだ昔の面影が残っていて安心した。


「そういや昨日、お前が告られてんの見たわ」

「え!マジで?何で声掛けてくれなかったんですか?」

「待て待て、告ってる時に声掛けるバカはいねぇだろ」


こいつの頭ん中は幼い頃から変わっていないようだ。
別に敬語で話さなくてもいいだろう、名前が中学に入った頃そう言った事がある。そのやり取りは名前が誠凛に入学してからも繰り広げられた。
そして必ず言うんだ。ほら、一応先輩だしって。

一応ってなんだ、一応って。


「やっぱ名前に先輩って言われんの、慣れねぇわ」

「私も慣れない」

「んじゃやめろ」

「でも、ほら」

「一応じゃねぇ。れっきとした先輩だ、ダァホ」

「ですよねぇ。でも今さら順平くんって呼ぶのもなぁ」


あぁぁもう好きにしろ!確かにそう言った。だけどそれはないだろうが…
どうやら女の成長は男より早いらしい。


「順平って、呼んでもいい?」


真っ赤な顔して見上げる名前を俺は知らない。俺の知ってる名前は俺の後ろをついて回っていた泣き虫な幼なじみであって、昨日みたいに告られて、ごめんなさいと頭を下げて謝ってるヤツは俺は知らない。


「お前な、彼氏でもない男を呼び捨てにすんじゃねぇ」

「じゃあ私の彼氏になってよ」

「は?」

「そしたら呼び捨てにしていいんでしょ?」


ニヤリと笑って腕を絡めてきた名前は俺の知ってる幼なじみなんかじゃなくただ1人の女、だった。




幼いままの君でいて

もうすぐキミに好きだと言うから




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