Holiday



「日向ってさー、早死にしそうだよね」

久しぶりに部活がない休みの日。日向に「暇だったら来いよ」と言われて部屋へとお邪魔している。
別に何をするわけでもなく、だらだらとしていたんだけど。普通、自分の彼女が自分の部屋にいたらいちゃいちゃしたくなるんじゃないの?なに、どこまでヘタレなのこの人。
ヘタレなくせして、血の気多いのってどうなのさ?昔なんてヤンキーぶって金髪にして、喧嘩しなかっただけましだけど。
とかって昔のことを思い出して呟けば、彼は読んでいた雑誌から顔をあげ、私を見た。

「え、何?俺死ぬの?」
「うん」
「うん、じゃねぇよ!縁起でもねぇこと言うんじゃねぇよだアホ!」
「ヘタレなのにね」
「それとこれとどう関係あんだよ?!」

私がさきほど思ってたことを伝えれば、耳まで真っ赤にされてしまった。

「俺だって我慢してんだぞ」
「何を?」
「その、あれだ……。お前のこと大事にしてぇから、無理やりしたくねぇし」
「このヘタレが」
「あ゛ぁ?!」
「だって、昔はヤンキーぶってたじゃん。あの時の威勢はどこへやら」
「過去ってのはな、忘れる為にあるんだぜ?」

かっこよく言ってるつもりだけど目が泳いでます、キャプテン。

「血の気多いし、霧崎第一戦だって皆の中で一番早くキレてたじゃん」
「そりゃ、あいつが悪いんだろうが」
「絶対、早死にする。喧嘩とかで。運命線短いんじゃない?」
「お前なぁ……」

彼は盛大にため息をついた。変なことでも言ったかな、と首を傾げれば今度は鼻で笑われてしまった。

「それを言うなら、運命線じゃなくて生命線だろうが」
「あ、そっか」
「手、出せよ」

言われるがまま左手を出せば、彼の大きな手に包まれてしまった。

「これだよ、生命線は」

男らしい指でなぞられる。彼は得意げに笑ってて、その顔がなんだか可愛くて。いつの間にか前のめりに体を倒し、彼にキスしていた。

「な……っおま……!」
「あ、やっぱり」

真っ赤になった日向を見て、私は確信する。

「早死にするね、きっと」

いわゆる、キュン死にってやつで。




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