イケメン→もてない男



「女子の生足に絡みついてなめ回したい」

 教室の窓からグランドを眺めていると、右側から白木の呟きが聞こえた。横目で白木を見てみれば、彼は近くで談笑している女子の太ももを真顔で凝視していた。

「……それは、ちょっと、引く」
「引くな!お前だって本当はなめ回したいんだろ!」
「嫌だよ汚い」
「汚いってお前な!女子の生足が汚いわけがない!」
「どうでもいいけど声大きいよ。ほら、女子が冷めた目でお前を見てる」

 慌てて白木は自分の口を押さえたがもう手遅れだ。馬鹿、だからお前はもてないんだよ。顔は悪くないのに。目は大きくてくりくりしてるし、鼻は高くはないけど小ぶりで綺麗な形だし、唇だって厚みは足りないけど血色が良く艶もあって、つい触れたくなる。とか、変態くさいな俺。


「斉藤はいいよな。イケメンだし、モテるし」

 白木が唇を尖らせる。可愛い。しかも俺のことイケメンって言ってた。イケメンって。俺のことかっこいいとか思ってくれてんのかな。やばい。顔がほてる。照れる。

「……好きな人以外にもてたって意味ないよ」
「出ましたよ、斉藤のイケメン発言。俺はお前が恐いよ。お前みたいな奴が世の女性を吸い取っていくんだ…」


 女子、女性、女、女、女。白木の頭はそればかり。
 短いスカートで白い太ももを曝け、長い髪からは甘い香りを漂わす。色付いた唇を突き出して上目で見上げる不自然な仕草でさえ、彼女たちは自然にやってみせる。自分たちの可愛らしさを彼女たちは知っている。そりゃ勝てないわ。別に勝とうとも思ってないけど。自分が彼女たちのようになれないことをわかっていたから、せめてかっこよくなりたかった。そうしたらもしかしたら白木が俺に惚れて……なんて。
 でもそれも無理そうだから、もし生まれ変われるなら、次はあいつ好みの女子になりたい。


おわり





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