最近の俺の頭ん中はいっちーとハルトさんでいっぱい。 あの日、本当のことを聞かなかったことにしてから、いっちーに何をされても嬉しくなくなっちゃった。何をされても、これは俺に向けられた行為じゃないって考えちゃう。 「明日、バイト休みなんだ。ふたりでどこか行かない?」 いっちーからのせっかくのお誘いだけど、少し考えてから首を横に振った。 「どうした?用事ある?」 「そうじゃないけど、せっかくの休みなんだから、俺なんかと過ごすよりもっと有意義に使わなきゃだよー」 「……何言ってるんだよ。暇なら映画行こう。強制だから」 ダメだよ、代役で満足してたら。ちゃんとハルトさん本人を誘わないと。 「……思ってたよりも泣けたな」 「うん、俺感動して鼻水ずびずびー」 「きったねーなあ。ほら、ちゃんと拭きなさい」 差し出されたポケットティッシュで鼻水をかむ。照れ隠しでにひひと笑うと、お前の笑い方は珍しいよなと指摘された。ハルトさんはこんな笑い方しないのかな。きっと鼻水を垂らしたりもしないよね。俺はちゃんと代わりになれてるかな。捨てられないかな。急に悲しくなった。 いっちーといて心臓が痛くなることが多くなった。泣きそうになることも増えた。ふたりでいても「幸せ」より「辛い」がたくさん。 ←|→ |