付き合い始めて数ヶ月経って、無事合格した高校に通い慣れてきた頃だった。その日は俺がいっちーの家に泊まる日だったのに、いっちーは夜遅くになってから酔っ払って帰ってきた。
 俺をほうっておいて呑んだくれていたことに小言をもらしていると、いっちーが俺をフローリングの上に乱暴に押し倒した。抵抗すると両手首を片手でまとめて拘束された。嫌だ嫌だと繰り返すと、いっちーは恐い顔をして怒鳴った。お前はハルトの代わりなんだから黙って抱かれていろ、と。

 いっちーが何で俺と付き合ってくれたのか、ずっと疑問だった。
 そういうことだったのか。いっちーは俺のことをハルトさんという人の代わりにしていたんだ。

 いっちーは俺なんか一度だって見てはいなかったんだ。ずっといっちーの隣にいたのは、“俺”の姿をした“ハルト”さんだった。いっちーと手を繋いだのも、ちゅーをしたのも、エッチをしたのも、全部俺じゃなかった。


 愛撫などろくにされないまま後ろから挿れられた。痛くて涙が出た。うめき声をあげたら、ハルトはそんな声を出さないと尻を打たれた。嗚咽がこぼれ、また打たれた。近くにあったクッションに顔を埋めて終わるのを待った。



 翌日、アルコールの抜けたいっちーは何も覚えてなかった。そしていつもの優しいいっちーに戻ってた。
「竜二、目元が腫れているね。……昨日、俺に何かされた?」
 困った。アレはいっちーが俺に隠していることのはずだ。それを俺が知ってしまったと伝えたら、いっちーはどうするんだろ。いっちーは優しいから、きっと死ぬほど謝ってからお別れになるだろう。やだな。まだ一緒にいたい。

「何もされてないよ」
 いっちーに初めて嘘をついた。





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