喘ぎ声を抑える癖ができた。我慢しなくていいよと優しく言われても、無意識のうちに唇を噛んで我慢してしまう。
 声が漏れるのが恥ずかしいからそうしてるんだっていっちーは思ってる。本当は違うけど、そう思ってるならそれでいい。



「竜二、血が出てる」
 いっちーの指が俺の下唇をなぞる。いっちーの眉尻が心配そうに下がる。優しい。いっちーに優しくされると胸があったかくなる。でも、ぎゅうって心臓が苦しくなって、辛くて、悲しくもなる。
「にひひ、唾つけといたら治るよ」
 笑ってそう言ったら、いっちーにべろりと唇を舐められた。
「俺の唾でも治るかな」
 含みのある笑みを向けられる。俺はいっちーのこういうところも好き。心臓が痛い。



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