1 こんばんはカエル君





「ったくよー、あの堕王子おもいっきし殴りやがってー」

ブツブツ、呟きながら歩いているのは、カエルの被り物をしている少年。
因みに今は、午前2時。


「おおーこんなところに海があったんですかー」


少年が歩き、たどり着いたのは

――…海だった。


よく見ると人がいる。すると、カエルの被り物をした少年は眉間にシワをよせ、

「チッ…先客かよ」


そのまま、少年は立ち去ろうとするが、少年はあることに気づく。


「は…?…にん、ぎょ…?」

先客は美しい人魚。しかも、怪我をしていると来た。
ザッ…と、少年は人魚に近づいた。


「ちょっと、アンタ大丈夫ですかー?」
「う……に、んげ…ん?」


背中に大きな傷。止血しなければ…人魚はきっと死んでしまう。気付けば少年は着ていた隊服を脱ぎ、応急手当てをしていた。


「…あ、りがと…」


にこと笑う人魚には、どこか、大空のアルコバレーノを思い出す。


「いいえー」
「ありがとう…でも、帰らなくちゃ…」
「は…?傷…」


まばたきをした瞬間には人魚は居なかった。パシャンと冬の海に音が染み入った。


不思議な夜だった。



(隊服…意味ないじゃねえかよー…)






××



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