完璧少年、最大のミス
「隊長...」
「なんだ」
日向は俺の机の前まで来てモジモジしている。気色が悪いこと甚だしい。
「あの...、私を隊長の好きなようにしてください...!」
「日向...、お前...っ、」
日向の机上には、俺が昨日絶対に汚すなといった書類が素晴らしく、それはもう感想もないくらい真っ黒に染まっていた
「隊長...、墨がこぼれてしまいました」
「.........」
こぼれてしまったのではない。こぼしたんだろう、と怒鳴る気も無くすくらい俺は額然とした。それくらい大切過ぎる書類だったからだ
「日向」
「...はい」
日向はびくっとして俺の次の言葉を待っている
「何でもするってことだな?」
「...、隊長のためなら何でもします」
「......しろよ、今すぐ」
「い、今ですか?!」
何故か動揺しだす日向。何なんだこいつは。むしろこいつを三席に推薦した奴の顔が見てみたい、...あ、それは俺か。くそっ
「では...失礼します」
「は?何してんだお前」
何をしでかすのかと見ていたら、何故か結んでいた髪をほどき俺の前にしゃがんでいた
「いや、だって今......あ、隊長そういう趣味なんですか?言葉責...「さっさと土下座でもなんでもして代わりになる書類取ってこいって言ってんだ!!」
「ええええええ!!だって隊長、しろって言ったじゃないですか!」
「てめえは何をしようとしてたんだ!どうにかしろと言ったんだ!」
...なんなんだこいつは。
初めから少し変わった奴だとは思っていたが、こうも変態だとは夢にも思っていなかった
「隊長...もしかして、照れて...「んわけねえだろ!」
気持ち悪過ぎる、頬を赤らめて俺を見る仕草が。
可愛いとでも思っているのだろうか、正直に言おう。果てしなく不細工だ
「たまにはかまって下さいよー、優しく花音って呼んで下さいよー」
「うるせえ、さっさと仕事してこい」
「花音って呼んでくれないと、行きません」
...こいつ自分の立場分かってんのか
なんでこいつが上から物を言ってんだ、だが俺には時間がない...しょうがねえ
「花音、早く行ってこい」
俺がかなりだるく言うと、本当に言うとはおもっていなかったのだろう、しばらくぽかーんとしていた
「おい、聞いてたか?」
「.........ぷぷぷ、本当に言いやがった、乱菊さんに言ってやろ」
「.....................」
完璧少年、最大のミス
一体誰だ、こいつに好きだと言ってしまったのは。......俺か、くそっ。