「リジェクション」
見た目的な変化は無いけど、きっと三…三大将の能力は低下した…。
…海軍の最高戦力…。
青キジ、赤犬、黄猿。
…よし、もう覚えた。
青キジはジョズ。
黄猿はマルコ。
そして赤犬はオヤジ。
「――げほっ…!」
ドク、ン…!
心臓が強く鳴って、それによって体は咳き込む。
何回か咳き込んで、イワンコフの話を思い出した。
ホルホルの実…私の中のホルモンに作用して、さっきまでの痛みと疲労を……取った訳じゃない、騙してるんだよね…。
バーソロミュー・くまとか赤犬の攻撃を止めた時の痛みと体への影響は、私の中にまだ残ってる…。
「――剃!」
ガッ!と首を腕で締められて、ただでさえ咳き込んでいた時にそうされて息が止まった。
「っ、…!」
しまった…、――この技、海軍の…!
ガチャン!と重い金属音が響いた。
いつの間にか後ろに取られた腕が動かない。
――手錠を付けられた。
「…名字名前、とうとう捕まえたぞ…」
耳元で低い声がする。
首を押さえる腕は離されることはなくて、更に私の足は地面から離れていった。
「っ、ぁ……」
息が吸えない。
息が吸えない。
頭がガンガンしてくる。
意識が遠退く。
――…どさあっ…
腕が離された。
膝から崩れて顔を打つ。
「…っ、……っ」
「おい、海楼石で力が出なくなっているんだ。あまりやり過ぎるな」
「ああ、分かっている。ただもう動かれては困るんだよ」
「――名前!」
するとマルコの声がした。
掠れる視界の中そっちを見れば、マルコが黄猿の攻撃を喰らっている。
「名前!マルコ!」
ジョズの声。
青キジが動く。
「っ、み、んな…」
手を伸ばしたくても、それは叶わない。
手を翳したくても、その手は錠で取られている。
海楼石だからじゃ、ない…私に海楼石は、効かないから…。
グッ…!
唇を噛み締める。
ぶつり、切れそうだ。
私が弱いから……!
もっと、もっと、体力があれば、――強かったら…!
こんなんじゃ、何も出来ない、何も守れない……!
「やめろぉおおお!!!」
――すると、そんな私の心を吹き飛ばすような声が、響いた。
「――…ルフィ…」
海兵およそ二十人程に囲まれているルフィから何かが出て、空気が揺れた。
ぶわん…!と何重もの波がこっちまで来て、その波が届いた次の瞬間、私を捕らえた海兵二人は倒れた。
「……ルフィ…」
体を起こすと、少し遠くに見える、その背中。
砂煙に紛れて消える、ルフィの姿。
――すうっ…と。
涙が一筋流れた。
「あ、りが、と…ルフィ、ありが、とう…」
幾重にも涙が流れる。
乾いた冷たい風が吹いて、頬の涙の跡が冷たい。
ルフィのおかげで、私を捕らえた海兵が倒れて、私はまた動くことが出来る。
私は何にも出来なくて、ずっとずっと弱いけど、――ルフィが居てくれる。
助けてくれる。
「リジェクション」
パキン…!手錠が砕ける。
私に無いものは、私の仲間が助けてくれる。
仲間、私の、仲間が…。
なら私は、みんなに無いものを、私に出来ることをする。
――みんなが私を、そうさせてくれるから。
「――タルタロス――」
110413.