蜃気楼をつかまえろ | ナノ
×
「#学園」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

「リジェクション」


見た目的な変化は無いけど、きっと三…三大将の能力は低下した…。

…海軍の最高戦力…。
青キジ、赤犬、黄猿。
…よし、もう覚えた。


青キジはジョズ。
黄猿はマルコ。
そして赤犬はオヤジ。


「――げほっ…!」


ドク、ン…!
心臓が強く鳴って、それによって体は咳き込む。
何回か咳き込んで、イワンコフの話を思い出した。


ホルホルの実…私の中のホルモンに作用して、さっきまでの痛みと疲労を……取った訳じゃない、騙してるんだよね…。
バーソロミュー・くまとか赤犬の攻撃を止めた時の痛みと体への影響は、私の中にまだ残ってる…。


「――剃!」


ガッ!と首を腕で締められて、ただでさえ咳き込んでいた時にそうされて息が止まった。


「っ、…!」


しまった…、――この技、海軍の…!


ガチャン!と重い金属音が響いた。
いつの間にか後ろに取られた腕が動かない。
――手錠を付けられた。


「…名字名前、とうとう捕まえたぞ…」


耳元で低い声がする。
首を押さえる腕は離されることはなくて、更に私の足は地面から離れていった。


「っ、ぁ……」


息が吸えない。
息が吸えない。
頭がガンガンしてくる。
意識が遠退く。



――…どさあっ…



腕が離された。
膝から崩れて顔を打つ。


「…っ、……っ」

「おい、海楼石で力が出なくなっているんだ。あまりやり過ぎるな」
「ああ、分かっている。ただもう動かれては困るんだよ」

「――名前!」


するとマルコの声がした。
掠れる視界の中そっちを見れば、マルコが黄猿の攻撃を喰らっている。


「名前!マルコ!」


ジョズの声。
青キジが動く。


「っ、み、んな…」


手を伸ばしたくても、それは叶わない。
手を翳したくても、その手は錠で取られている。


海楼石だからじゃ、ない…私に海楼石は、効かないから…。


グッ…!
唇を噛み締める。
ぶつり、切れそうだ。


私が弱いから……!
もっと、もっと、体力があれば、――強かったら…!
こんなんじゃ、何も出来ない、何も守れない……!



「やめろぉおおお!!!」



――すると、そんな私の心を吹き飛ばすような声が、響いた。


「――…ルフィ…」


海兵およそ二十人程に囲まれているルフィから何かが出て、空気が揺れた。
ぶわん…!と何重もの波がこっちまで来て、その波が届いた次の瞬間、私を捕らえた海兵二人は倒れた。


「……ルフィ…」


体を起こすと、少し遠くに見える、その背中。
砂煙に紛れて消える、ルフィの姿。


――すうっ…と。


涙が一筋流れた。


「あ、りが、と…ルフィ、ありが、とう…」


幾重にも涙が流れる。
乾いた冷たい風が吹いて、頬の涙の跡が冷たい。


ルフィのおかげで、私を捕らえた海兵が倒れて、私はまた動くことが出来る。

私は何にも出来なくて、ずっとずっと弱いけど、――ルフィが居てくれる。
助けてくれる。


「リジェクション」


パキン…!手錠が砕ける。


私に無いものは、私の仲間が助けてくれる。
仲間、私の、仲間が…。
なら私は、みんなに無いものを、私に出来ることをする。
――みんなが私を、そうさせてくれるから。



「――タルタロス――」






110413.