「…………」
日に焼けたその人の、笑う口元の歯が白く目立つ。
静かに視線を返しても、サングラスに隠された瞳からは何も見えなかった。
…まあ、良いや。
能力は止められるし、早く先を急ごう。
「――ぅゎぁぁぁぁぁぁ」
拒絶をかけようとして、ぴたりと手が止まる。
目が丸くなった。
「ぅゎぁぁあぁああああ」
…!この、声…!
自然と笑顔になる。
声のする上空を見上げたら、そこには一つの軍艦と、何十人もの人。
そしてその先陣を切って落ちてきているのは
「ルフィ…!」
ぱあっと頬が緩む。
良かった、良かったー。
…久しぶり、だ…。
火薬の匂いが漂う戦場の空気。
今にも雨が降り出しそうな曇天。
――それが何故だか一瞬で晴れ上がってしまったような気がした。
鈍い色の雲の上から落ちてきたルフィ達は、その雲をどかして、白く光る太陽を現した。
――ドシャアアアン!!!
さっきジョズが投げて出来た、氷の穴にルフィ達は落ちたんだろう。
派手な水音と、広場からでも水飛沫が見えた。
あ…そうだよね。
海賊と海軍の戦争なんて…きっと新聞で世界中に知れ渡る。
ルフィが何処に飛ばされたのかは分かんないけど…来るよね、ルフィなら。
「ふっふっふ、お騒がせのルーキー…知り合いか?」
顔を男の方へ戻す。
変わらず笑みを浮かべている男。
「…私の船長だよ」
「そうか、そうか。噂のモリガンは今はそこに居たのか」
「…………」
「まあ別に、おれはお前に興味は持ってなかったがなァ」
…何だか、よく分かんない人だな…。
ていうか、不気味…いや、変…かな。
試しに指を動かそうとしてみた。
動かない。
少し眉を寄せて、もう一度男を見る。
変わらず笑っている男。
興味が無いなら、早く離してくれても良いのに…。
まあ…拒絶しよう。
「だけどな、持ったぜ」
すると響いた男の声に、少し首を傾げながら男を見る。
にいっ、と。
口角が更に上がった。
「興味」
110223.