「モンキーちゃん達はどうするの?」
「遊園地行こう!」
「行くか!この馬鹿!…そうねえ、此処に居ても迷惑かけるだけだし…ショッピングでも行く?」
「お前もか!」
――覚醒していく意識と共に会話が耳に入ってくる。
微睡む意識の中から浮上した。
「!名前!起きたのか!」
「おー…」
ゆっくりと瞼を持ち上げて体を伸ばした。
気付いた皆がルフィを先頭に声をかけてくる。
ソファーに横になっていた体を起こす。
「はい、水。スッキリするわよ」
「…?」
「ああごめんなさい。私はシャッキー。此処の店主よ、名前ちゃん」
「…私の名前…知ってるんですか?」
「そのオバハン何でも知ってるぞ!」
「ふふ、情報は武器よ」
水の入ったコップをくれた黒髪ショートの女の人。
私の存在を知ってる人なら沢山居るけど、名前まで知ってる人はあんまり居ないからびっくりした…。
「モンキーちゃんと同じように、噂を聞いた時からずっと会ってみたかったわ。名前からして女だとは思ってたけど、まさかこんな可愛い子だとはね。ふふ」
柔らかく頭を撫でられる。
こくりと水を飲んだ。
冷たくて美味しい。
お礼を言うとシャッキーはまたカウンターに戻った。
「名前、具合はどうだ?」
「大丈夫だよチョッパー。ありがとう」
「えへへぇ、褒められても嬉しく「本当に大丈夫?この後は此処を出て、下手したら戦闘よ」えへへぇ!」
「って遮られてもめげないのかよ!」
ウソップがチョッパーにつっこむのを見ながらナミの言葉を考える。
「…?戦闘になるの?」
「ああ、おめェは後から来たから分からねェよな。天竜人っつうスーパーなお偉いさんをブッ飛ばしたから大将が来るんだとよ」
「…大将って…あの、なんだっけ。青…青…青熊?とか?」
「青雉よ、ふふっ」
「なんだ名前、そういうの知ってんのか」
ゾロに少し驚いたように言われて、私は――
「マリージョアに居た時に見かけたから」
「「「はあ?!」」」
「………びっくりした」
「びっくりしたのはこっちよ!名前アンタ、マリージョアに居たの?!」
「ん、少しだけ。能力が知られた時に連れてかれたんだ」
でも…そっか、大将が来るんだ。
…寝といて良かったな。
さっきの後直ぐに大将が来ていたら、きっと能力は使えなかった。
「さて、じゃあ早いうちに行くわよ!」
ナミの掛け声で皆が立ち上がる。
私も立ち上がって、空になったコップをシャッキーに渡しにカウンターに行き礼を言った。
「―――君、」
すると低くて渋い声が空気を震わせて、振り返った私は向けられている視線に小さく首を傾げた。
「…私…?」
「ああ、君だ。私はシルバーズ・レイリー。君達の船のコーティングをさせてもらう」
「海賊王の副船長をやっていたらしいですよ。まあ私、海賊王と言ってもよく分からないんですがね!ヨホホホホ!」
ぺこりと頭を下げる。
「名字名前、です」
レイリーは大きなコーティング道具が入ったリュックを背負うと私の元に来た。
そして肩に手を置くと、ルフィを見る。
「ルフィ」
「ん?なんだ?」
「名前を少し借りてもいいか」
「な、なんでだ?!」
「はは、悪いようにはせんよ。―…ただ少し、この子と話がしたくてな」
100103.