蜃気楼をつかまえろ | ナノ
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「宴だー!!」
「「「オー!!」」」
「…おー…?」


私が次の島までお世話になる記念宴だそうだ。
ルフィは一人で仲間が増えた記念宴だって言ってたけど。


甲板の真ん中に大きな臨時テーブルが設置されて、その上にサンジが作ったご飯がたくさん並んでる。
椅子に座る人も居れば地べたに座る人も居るし、ウソップとチョッパーは魚の頭で遊んでる。

その様子を眺めていると、コトリと前に食べ物が乗せられたお皿が置かれた。


「サンジ、」
「食べてる?名前ちゃん」
「うん、サンジって凄い料理上手いね」
「レディに褒められると嬉しいな」


綺麗に笑ったサンジ。

私は持ってきてくれたお皿からパンを取ってがぷりとかじりつく。
弾力のあるそれをもきゅもきゅと噛んでいると、サンジから視線を感じた。


「…?」
「……(なんだ…このクソ小動物みてえな生き物…)」
「サンジ?」
「、ああっ悪いな、…美味しいか?」

ふにゃり、
「うん、美味しい」

「!(なんだこのクソ小動物みてえなの…!)」


するとナミが「サンジくーん、お酒あるー?」と言った。
サンジは目をハートにすると「じゃ、たくさん食べて」と言いそっちに走っていった。


目が…ハートだった…。
……どうやるんだろ。


「名前、名前!」
「あ、チョッパー」
「ウソップがな、あの魚と昔友達だったんだって!」
「…あのお頭?」
「くそーサンジめ!俺の友を…友をォおお!」
「ウソップ、泣くなぁああ!」


まじでか。
…さっきウソップそのお刺身食べてたよね。
それにしてもチョッパー可愛いなぁ…小さいし、目がまんまるだし。


「名前ー飲んでるぅ?」
「わ、」
「こっちおいでよぉ」


腕を掴まれたかと思ったらぐいっと引っ張られて、頬を赤く染めたナミが私の腕を引っ張りながら中央のテーブルへと連れていった。


「サンジくーんお酒!名前にもお酒!」
「ちょっナミさん、名前ちゃんは酒はまだ」
「あら、珍しいわね。お兄さんみたいよ」
「ロビンちゃん…」


何時もだったら例え何歳だろうとレディとして扱うサンジが、妹のように名前に接している。
本のページを捲りながら言うロビンに、サンジは頭を掻きながらこそりと話す。


「名前ちゃんはなんだか妹っつうか…小動物みてえなんだよな。もちろん名前ちゃんが女っぽくないって訳じゃなくて」
「分かるわ。彼女、可愛いけれど顔は凄く整ってるもの」


サンジとロビンがちらりと見れば、ナミに肩に手を回されている。


「そういえば名前、歳は?」
「16。ナミは?」
「18よ、私妹が欲しかったのよねぇ」

ふにゃ
「ナミおねーちゃん」


頭を撫でてくるナミに冗談で笑いながら言えば、ナミはキョトンとして、そして直ぐに更に絡んできた。


「きゃー!今の、今のもう一回言って!」
「やだ」
「こら!お姉ちゃんになんて口のききかたしてんのよ」
「やだ」
「そういう意味じゃないわー!」


酔っ払いだ。
しかも厄介な酔っ払いだ。


ぐにーっと頬を掴まれぐにぐにと遊ばれる(…痛い)。
けどそれにも満足そうなナミにされるがままになっていると、ロビンが声をかけてきた。


「あなたがお姉ちゃんなら私は母親かしら」
「ロビンママ助けてー」
「……ドスフルール」


遊ばれている頬はそのままに、またも冗談で言ってみた。
すると目をぱちりとさせたロビン。
首を傾げるとロビンは戻って、綺麗に微笑んでさっきの技を使いだした。


お母さん怖ぁあー。
悪さ出来ないよこれー。


ロビンによって離されたナミの手。
でもナミは何故か笑ってるから、まあいいんだろう。


「(ナミさんもロビンちゃんも…やっぱり俺がおかしいわけじゃないな!)」


そうして一人納得しているサンジに気付かず、私は水を飲んだ。
するとドンとテーブルにコーラが入った瓶が置かれた。


「フランキー…」
「水ばっか飲んでてもツマンねえだろ!コーラだ」
「フランキー、私炭酸飲めない」
「はァ?!コーラもか?!」
「ん」
「名前…お前おかしいぜ!いいか、コーラはなあ…!」
「ヨホホホ、フランキーさん。無理強いはいけませんよ!」
「あ、ブルック」
「うるせー!俺はコイツにコーラの良さを教えるんだよ!」
「人には好き嫌いがあるものです。現に私も牛乳以外はあまり飲みません、骨だけに!ヨホホホホ!嘘ですけど!ヨホホホホ!」
「うるせー!」


フランキーに殴られてぼーんと飛んでいったブルック。
その軌跡をおぉ、と眺めていると、フランキーがずいっとコーラを押し付けてきた。
ご丁寧にコップに入れてくれている。


「おら、飲め」
「………」
「…なんで嫌ェなんだよ」
「……舌が、痛くなる…」
「それも魅力の一つなんだよ!」


う…とフランキーを見上げればぐっと顎を引いて「お、俺が悪いみてえじゃねえか」と言う。


…フランキーが悪い。


「がっ…辛え!クソコック、てめえなんだこりゃ!」
「あーすまねえ間違えた」
「わざとだろテメ…!お茶ァ!」


するとゾロが私の前にあったコップを掴み一気に飲み干した。


あ、それお茶じゃな


「ブーーーッ!!!」
「な゛っ汚え!ゾロてめえ何してんだ!ていうかコーラ勝手に飲んでんじゃねえ!」
「コーラかよ!いってえ」
「ゾロ」
「あ?」
「ん」
「………」
「水だよ」
「わりーな」


水を受け取ったゾロは「ソーダじゃねえよな」と言って、飲み干した。
そしてサンジへと刀を抜いて向かっていく。
そんなゾロを「飲み逃げかー!」と追っていくフランキー。

私はかたりと席を立って壁に寄りかかって座った。

するとルフィが私に気付いて、骨付き肉に噛みつきながら歩いてくる。


「名前も食うか?うめえぞ、これ!」
「ん」
がぷり


ぐににと引っ張ってやっと噛みきれた。


「にしし、うめーだろ!」
「うん。…あ、ルフィ。少しの間だけだけど、乗せてくれてありがとう」
「?俺はお前を仲間にするんだ、当たり前だろ!変な奴だなー」
「…ルフィには言われたくないよ」






(まだ言ってたんだ)
101112.