「ね…ルフィって小さくなれるの?」
「ん?ギアサードのことか?」
「ギアサード…?」
ウソップから聞いた『ルフィ小さくなる説』。
ウソップから聞いた話だから嘘かなーと思ってたけど、ホントみたい。
ルフィによれば『ギアサード』とは、親指から空気を入れて腕を巨人族並に巨大化出来たりするらしい。
まさにゴムならでは。
「……見てみたい」
「おう良いぞ!けど船の上だから直ぐに止めてくれなー」
「ん」
チビルフィ…楽しみ。
少しどきどきしながらルフィを見守ると、ルフィは大きく息を吸い込み親指を噛んだ。
「ギア サード!!!」
「……でかっ」
膨らんだルフィの腕を見上げるけど、それは展望室の高さまで大きくなっている。
私は直ぐにルフィの腕に手を翳した。
「リジェクション」
腕はぼんっ!と一瞬で消えて再び青空が現れた。
私は視線をルフィに戻して
「………」
……ルフィが居ない。
「名前!しただ、した!」
下から少し高い声が聞こえてきて、そのまま視界を下にスライドすると
「……ルフィ…?」
「おう!」
そこには、二等親程になったルフィ…いや、チビルフィが何時ものように笑っていた。
私は感動で少し震えながらも座って、チビルフィをゆっくり抱き上げた。
「お?な、なんだ?はなせよ名前!」
「……わい…」
「ん?なんだ?」
ふにゃり、
「可愛い…」
「!かわいいなんて言われても嬉しくねーぞ!」
ぶんぶんと短い腕を振り回すチビルフィも可愛い。
チョッパーと同じ感じの二等親も可愛い。
なんていうか可愛い。
―――ぼんっ!
するとルフィが小学生程の大きさになった。
抱き上げていたのが無理になって、私の上にルフィが乗る。
ルフィが口元を上げるのが見えた。
―――ぼんっ!
「………」
「可愛いなんて言われても嬉しくねェぞ」
元通りに戻ったルフィにのし掛かられて体制を保てる筈もなくて、私はルフィと一緒に床に倒れ込んだ。
青空をバックに笑うルフィの笑顔が何時もより悪どいのは気のせいかな。
……気のせいが良いな。
「…レリーフかけとけば良かった」
「もう名前の前ではしねェ」
「わ、ごめんってばー」
拗ねるように頬を膨らましたルフィに手を振る。
チビルフィが見れなくなるのは困る。
今度チビルフィになった時には体力が切れるまでレリーフを使おう。
なんてね。
「良いか、名前」
「ん?」
「可愛いなんて言われても男は喜ばねェぞ!」
「でも…チョッパーは喜んでるよ」
「…おれは喜ばねェ!」
でも…可愛かったのにな。
101224.