蜃気楼をつかまえろ | ナノ
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夜ご飯の後、というか食欲が無かったから少し食べて船首甲板に出てきた。
青というよりも黒に近い海を眺める。
月も雲に隠れていて、海面はぞっとする程に吸い込まれそうで少し怖くなる。


…次の島には確かあと一日で着く。
比較的大きな街だからカジノとかもあるんだっけ…。
……なら…大丈夫かな。
きっと海賊がちらほらと立ち寄る島だ。

……皆には言わないで、ていうか言えないよなぁ。
言ってもきっと、了承しない気がする。
でも、しなきゃいけない。



「ヨルムンガンド」



…あの蔓男め。
バーカバーカ。
でもおかげで気付いたよこのやろー…。


前方を見やる。
まだ島は見えない。
何気なく後ろを振り返ると、暖かい光を灯す皆が居る食堂。


…あ、でも私一人で街に出してくれるわけもないし…上手くやらなきゃ。





―――次の島で、この海賊を、抜けよう。







(眩しくないのに、眩しかった)
101214.