「名前っ良かった!良かったぁああ!」
泣きながら抱き着いてくるチョッパーに、私も泣きそうだ。
チョッパーが可愛すぎて。
ぽんぽんとチョッパーの背中をあやしながら皆やサニー号を見る。
電撃のせいで軽く火傷していたり、サニー号は体当たりされたせいで少し凹んでいる。
眉を寄せて、目を伏せた。
「っ悪魔だ…!お前は人に不幸をもたらす悪魔だあああ!!」
―――かちり。
心の中で鍵が掛かる音がした。
「ひとつ良いかしら」
「…?」
「名前あなた、さっき電撃を出したわよね」
「ん…手が熱くなってきて気付いたら出てた」
「さっきのクソ野郎の能力だよな?」
「能力を吸収したって事か?」
「けどよ、ゾロ。おれ達三人で向かってった時はまだ使えてたぞ?」
自分の手を見るけど、さっきみたいな感覚は無い。
チョッパーが恐る恐る一緒に私の手を見るから冗談で「バチ」なんて言うと「ぴゃぁああーっ!」とウソップの足にくっつきにいってしまった。
……ショック。
「でも使えたんだから吸収したのは間違いねェな」
「一時的なら吸収出来るんじゃないですか?」
「つまり能力が進化した、って事よね。今までは使えなかったんでしょ?」
「ん」
「別段おかしな事でもないわ。私達にとって技が増えると同じようなものじゃないかしら。…試してみたらどう?」
ロビンの言葉に首を傾げる。私だけじゃなくて、皆も。
「つまり私達の能力を名前が使えるようになったか試してみるのよ」
「ならルフィの能力が一番分かりやすいわね。チョッパーとブルックはまず問題外だし、ロビンのも少し難しそうだし」
「麦わらの能力なら伸びれば分かるからなァ」
「……私、ゴムゴムなっても嬉しくない…」
「ゴムゴム言うな」
ビシッとルフィにチョップされた。…だって別にゴムゴムなっても以下略。
「熱くなったんだったか?」
「ゾロ…うん、首を掴まれてる手に触ったら何かが流れてくるみたいになった」
「ルフィ、手出して」
「こーか?」
ナミに言われたルフィが両手の平を上に差し出してくる。
私とルフィの回りを他の皆が囲む形で見る。
ルフィの後ろにロビンとフランキーとブルック。
私の後ろにナミとサンジ。
私とルフィの両隣にゾロとウソップとチョッパーが立つ。
そうっと手を重ねた。
「!!」
瞬間、ルフィはバッと手を離した。かと思えば
「うおわああああ!!」
と叫んで走っていってしまった。
ウソップとチョッパーがつられて声を上げるのにびくりと肩が揺れた。
「サンジ君…見た…?」
「ナミさんも…?」
と会話が後ろで聞こえたかと思えば、ナミとサンジもルフィを追いかけていってしまった。
(あー…痛かったのかな…)
101212.