ちゅどーん!
「お…?」
船首甲板の方から軽い爆発音が響いた。
歩いていってひょこりと顔を出すと、そこにはウソップとルフィ。
「おー名前!っそうだ、お前にも狙撃を教えてやるよ!」
「…狙撃?」
「ウソップすげェんだぞ!」
「へへっ、まあそれほどでもあるなァ!狙撃で俺に叶う奴ァ居ねえ!」
鼻が伸びに伸びているウソップが緑のパチンコを構える。
「いいか?このゴムで…そうだな、火炎星にするか!これを支えて、っ」
ちゅどーん!
ビュン!と飛んでいった火炎星は、海に浮いている少し離れた岩のてっぺんに見事命中した。
「へへっ、ほらよ」
パチンコと火炎星を渡される。
ウソップを真似て、びよーんと火炎星を支えたゴムを引っ張って、同じく岩を狙う。
「いよォしそのまま手を離せ!」
「おー」
ぼと、
「………あれ?」
「うおわァあああ!なんでそーなるッ!」
手を離したら、何故か火炎星は勢い無く床に落ちた。
ウソップが叫びながらそれを拾い、海に投げ捨てた。
ざぱんと波打つ海。
「にしししっ、名前下手だなー!」
「…なんでだろ」
「はあっはあっ…死ぬかと思った…ったく、なんでだぁ?」
「…分かんない」
もう一回やってみようと、近くにあった弾から一つ適当に取ってセットする。
ゴムを引っ張って――
ぼと、
――勢い無く、落ちた。
すると球から煙がたちこめてきて、私とウソップ、そしてルフィをも包み込んだ。
う…目が…痛い。
「げェっ!こ、こりゃ…タマネギ爆弾だぁ〜っ!うっううっ…!」
「涙が止まんね゛ェ〜、ウソップぅ!なんてもん作ってんだよ゛ォ〜!」
「これは名前が落とすからっ…!」
――ぼろり、
「お…ー…」
痛くて痛くて、じわじわと浮かんできていた涙が遂に零れ落ちた。
次々に流れてくる涙に目を瞬かせると、ルフィが来てガッと私の肩を掴む。
「泣ぐな名前!」
「…ルフィも泣いてるよ」
「ウソップ!これ何時になったら終わんだ?!」
「多分洗ったら落ちると思」
「分かった!」
「わ、」
ルフィに抱き抱えられ大浴場へと走られる。
速いスピードに風が起こって、潤んだ瞳は冷たく感じてまた涙が零れる。
バン!と音を立ててドアを空けて中に入って、シャワーの前で降ろされる。
と同時にルフィはキュッとノズルを捻った。
「っ」
まだあまり温まっていない湯が降ってきて思わず身がびくりと震える。
なのにルフィはシャワーを掴むと、それを私に向けてきた。
「ル、フィ」
「洗え!」
「…ル…」
いや、逆に目瞑るよ。
見えない視界でルフィの腕を掴む。
「わ、止めろって」とルフィが対抗してくる。
ぐいぐいと押し問答していると
つるっ、
「「あ」」
元々濡れている足場で争うものだから、二人してすっ転んだ。
う…と私の上に居るルフィを見上げて
「あ…」
「いてて…ん?どーした?」
「…痛くない…」
「…お、ホントだ!にししっ治ったな!」
ルフィの黒い髪から滴り落ちた水滴が、私の頬を伝った。
(何故だかいたたまれなくなった船長)
101121.