蜃気楼をつかまえろ | ナノ
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「#年下攻め」のBL小説を読む
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「じゃあ…本当にありがとう、ございました」


最後だからと敬語にした、してみました。
島が近付いてきて、私はリュックを背負って皆に向かい合う。

この島は海賊船でも島に停めれる場所があるらしい。
それは曰く付きを意味するらしいけど私には好都合だ。
普通海賊船は少し島から離れて停めて、小舟で島に上陸する。

――けどそれだと私が麦わら海賊団の仲間だと思われるかもしれない。

此処はもう海の上じゃなくて、島の上。
誰が見ているか分からない。
もし海軍が、それか私を知っていて見た事がある海賊に見られたりしたら…きっとその人達は麦わら海賊団に攻撃を仕掛ける。


…私の能力を知らないのにここまでお世話してくれた皆に迷惑をかけるわけにはいかない。
一人で走って離れれば、人通りに出た時には私は一人。
…きっと大丈夫だ。


「も、もう行っちゃうのか?せめてこの島に居る間くらい…!」
「…ごめんねチョッパー、私ちょっとやることがあるから…」


こんなに可愛いチョッパーともこれでお別れかぁ…。
チョッパーの手配書は大切にしよう。


「うががぎぐ…!」
「………」
「うがー!」


…最後だってのにホラーだ…。


暴れるルフィを右からゾロ、左からサンジが抑えてる。
けどゴムゴムなルフィだからびよーんと伸びている。


…ホラーだよこれ、ホント…。
赤ちゃんが見たら泣くと思う。


そうしている間にも船は海賊船専用の港に着いて、私は下を見やる。


ふにゃ、
「ありがとうございました」


再びぺこりと礼してぴょんっと船から飛び降りる。

なっ?!と目を見開いた皆と、ゾロとサンジに出来た隙に私に向かって手を伸ばしてきたルフィが見えた。



「――リジェクション」



目を細めて微かに呟く。
瞬間ばちぃ!と戻っていったルフィの手を見ながら着地。
そして走り出した。

















「おいルフィ、どうしたんだ?」
「おれにも分かんねェ、いきなり手が戻ってきちまって」


名前に届くことなく戻ってきたルフィの手。
ゾロの問いにルフィは自分の手を見て首を傾げる。
けど直ぐにハッとなって


「やべえ!名前行っちまった!」


そしてひょいと船を降りてルフィも走り出した。


「あのバカ…!迷っても知らねえぞ!」


そしてゾロ。


「アンタが言える事じゃないでしょ!」


そしてナミ。


「ナミさんが行くなら俺も行くぜぇーっ!」


そしてサンジ。


「あァおい待てよぉ!俺も行く!」


そしてウソップ。


「じゃ、じゃあ俺も行くーっ!」


そしてチョッパー。
船に残ったのはロビン、フランキー、ブルックの三人。


「ふふ、若いわね」
「ロビンが言うかァ?」
「私からしたらお二人もまだまだ若いですよ、ヨホホ!」


自動的に船番になった三人は駆けていった六人を見ながら


「ルフィは勿論だけど、他の皆も名前と離れたくないのよね」
「ゾロもナミもサンジも、大人ぶってたがずっと眉寄せてたしなァ」
「私からしたらお二人もそう見えましたよ、ヨホホ!」
「………あなたもよ、ブルック」
「生言ってんじゃねえや…」





(だれが鬼?)
101114.