拍手文 | ナノ
×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
任務を終えた私達カカシ班は報告の為火影邸へと来ていた。
そして先頭を歩くヤマトさんが火影室の扉をノックし開けて。


「失礼します、任務の報告にーー」
「カカシ班か!いいところに来たな」
「と思ったんですがまた後で来ます」


そうして五代目と何やら話したかと思えば直ぐに扉を閉めて、焦ったように私達に向き直る。


「任務報告へは後で来るよ。少しどこかで時間をつぶそう」
「どうしたんだってばよ、ヤマト隊長」


ヤマトさんの急な行動に、彼の背中にぶつかったらしい、ナルトが鼻を押さえながらそう問うた。
いまや大所帯となったカカシ班はもれなく疑問符を浮かべている。


「僕が今何を言われたと思う?綱手様に、ちょうどいいところに来たな、だよ」


変わらず疑問符を浮かべる私を含めた数人とは裏腹に、サクラは「えっ」と焦りを含んだ声を漏らし、ナルトも


「それはなんだか、やばいってばよ」
「だろう?だからほら、また後で出直すよ」


と言ったヤマトさんの言葉の終わりあたりで、火影室の扉が中から勢いよく開いた。


「任務の報告に来たんだろう?ほらさっさと入った入った!」


そうして出てきた五代目は、ひきつった表情のヤマトさんやサクラをポイポイと火影室に入れていく。
カカシ先生が読んでいたイチャイチャシリーズの本をパタンと閉じて、息をついた。















「あのよバァちゃん、俺達ってば今任務終わったばっかで疲れてんだけどーー」
「何言ってんだ。お前ら程の忍が揃いも揃っていれば、どんな任務だってDランクに感じるだろう」
「まあ自分の班の仲間が皆優れているのは認めますが、だからといって綱手様、最近の任務は無理難題のものばかりですよ。ーーそれで、話はこの箱についてですか?」


顎に指を沿えカカシ先生が見下ろす先にあるのは、火影室の真ん中に置かれた箱。
ゴムのような素材で出来たその箱は中々に大きくてーーといっても、例えば箱の中に入ったとしたら、私やサクラでも少し小さそうな程度だ。
カカシ先生の問いに五代目は口角を上げて、ああ!と答えると私達を真っ直ぐに見た。


「これはだな、私が賭けに勝って手に入れた戦利品…その名も恋愛成就箱だ!」


カア、カアとどこか馬鹿にしたように聞こえてくるカラスの鳴き声、静まり返る火影室。

目を輝かせる私、急激に上がる心拍数。
息切れ動悸を隠すために咳をした。


「くだらない。俺はもう帰る」
「俺もサスケに同じく、だ」


するとくるりと踵を返したうちはの二人ーーサスケとオビトさんに、私は慌てて口を開いた。


「ま、待って、サスケも、オビトさんも!もう少し五代目の話を聞いてみましょう?」
「うーん、だけど、バァちゃんが賭けに勝ったってとこから既に怪しいし、その戦利品…怪しさと不安以外の要素がねえってばよ」
「そうですよ師匠、賭けの戦利品って…何か、危ないものなんじゃないんですか?」


サクラの問いに五代目は、フフン、と自慢気に鼻を鳴らす。
答えるため口を開いたのは、トントンをいつものように抱っこしているシズネさんで。


「その点は大丈夫よ、サクラ。確かに賭けの席にはカタギじゃない人達もいるけど、綱手様がこの箱を貰った相手は火の国でも有数の資産家の当主で、昔から顔馴染みの方なの」
「それにさっきお前らと同じく任務報告でガイ班が来てな。ネジに白眼で視てもらったんだが、仕掛けなんてものは無い、とさ」


はやる気持ちを抑えて、私は口を開く。


「で、ですが恋愛成就箱、ということは何かしらが箱にあるんじゃ…?」
「うむ、だから効果が本当にあるのかどうか、試してもらおうと思ってな。せっかく賭けに勝ったのに」
「ゲホッ、ゴホッ」


れ、れれれれれ恋愛成就箱、だと…?
賭けに勝った五代目がGJなのはもちろんのこと、それを戦利品として渡したその資産家の人、並びにまずこれを開発した人GJ!
ど、どうなるんだろう恋愛成就箱なんて、初めて聞いたよ。
そして、誰と誰で試すんだろう…!


「お願いします、カカシ班のみんな。綱手様が賭けに勝って嬉しい気持ちをどうか汲み取ってくれると…」


眉を下げて笑うシズネさんに、ヤマトさんがどこか同情したような、他人事だとは思えない、というような何かを含んだ苦笑いを浮かべる。


ハッ…シズネさんとヤマトさんはどうだろう…?
ああ駄目だ、恋愛成就箱というものの為か、考えが膨らみに膨らむ…!
…いや、待てよ?
駄目なんかじゃない!
今まで気づけなかった新境地、新たな幸せの発見だ!


ナルトがまじまじと箱を見る。


「まあ二人がそこまで言うんなら、俺もちょっとは興味あるし、ってことでサクラちゃん、どう?俺と試しーー」
「アンタと?うーん、私はサスケ君とがいいなっ」
「断る。勘弁だ、こんなものの実験台」


昔とどこか変わったようで変わらない、ナルト、サクラ、サスケの関係、やりとりに胸がいっぱいになって咳をする。

と、サイが隣から私を覗き込んで。


「大丈夫?名前。さっきから咳してるけど」
「大丈夫サイ、ありがとう」
「そう?それなら名前、僕と試してみようか、この恋愛成就箱ってやつ」


サイの冗談に思わず笑おうとすると、サスケとオビトさんがサイの肩に手を置いた。


さっきも思ったけどやっぱり一族ってどこか似るものなのかな、息ぴったりだ。


「「駄目だ」」
「…本当、うちはの人って子供ですよね」
「誰が子供だ。大体俺は名前の保護者的立場として変な虫がつかないようにだな」
「あはは、大丈夫ですよオビトさん。私の周りの人達は素敵な人達ばかりで虫じゃないですし、そもそも虫も寄って来ませんよ、私には」
「これだから心配なんだよ」


するとカカシ先生が五代目に向かって


「さっきガイ班が来たと言ってましたね。その時は試さなかったんですか?」
「やったさ、ガイとシズネでな」


あまりの衝撃に私は息をのんだ。


「私だって鬼じゃない、妙齢の者達で試すことはしないさ。大体もし本当に恋愛関係にでも発展してみろ。そんな仲を取り持つ仲人みたいなことやってられるか」
「ハナから綱手様も、この箱を信じているわけじゃないんですね」
「当たり前だ、こんな胡散臭いもの。ただ何らかの効果や作用がないただのばったもんであることは許せないのさ。だから色んな奴らで試したいってわけだ。何人も試して何も無かったら、懲らしめに行ってやる、アイツ」


な、なんだそれじゃあ、今の五代目の話を聞く限り、ガイ先生とシズネさんでは何も起こらなかったのか…。
確かにガイ先生とシズネさん、というよりガイ先生が恋愛しているところを想像するのはかなり難しい…!


「だからシズネとカカシ、それにヤマト、オビトも、試してみてくれ」



そう言った五代目に、私の目はまた光り輝いたーーのだけれど、結果は何も起こらず。
使い方は、箱に二人で手を置くこと、らしいのだがまったく何も起こらない。
初めから胡散臭そうにしていたサスケはもとより、若干ワクワクとしていたナルトやサクラもすっかり諦めている。
怒れる五代目と宥めるシズネさん、そんな二人と話すカカシさんとオビトさん。
疲れたように苦笑しているヤマトさんと話すサイ。

私も落胆の気持ちを抱えたまま箱に近づき、手を触れる。


恋愛成就箱…確かにそんなものがあるかと聞かれたら胡散臭さはある…けれどまた同じく夢のあるものじゃないか…!
どうにかして作用しないものかな…というかもし本当に作用が起こるとして、いったい何が起こるんだろう?

動かそうにも中々重い恋愛成就箱。
首を傾げるとにっこりと笑顔のカカシ先生が隣に来て、同じように手を置いた。


「これで作用しちゃったりしてね」
「あはは、カカシ先生ーー」


冗談がお上手ですね、そう続けようとした時、恋愛成就箱が光って。

驚きに目を見開く中、恋愛成就箱に置いた手が箱の中からまるで吸い付かれるようになってーー抗えない力でそのまま体ごと引き寄せられた。


「「……」」


そしてその力が無くなり解放されたかと思えば、私はカカシ先生の上にいた。
大人二人が入るには小さくて狭い、恋愛成就箱の中で。



140414