恋い焦がれた太陽 | ナノ
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「#幼馴染」のBL小説を読む
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大広間、グリフィンドールの席につき昼飯を食いながら俺は、ムカムカとしたような心境で、スリザリンの席の一角を見ていた。

そこにはリドルと、そして頬を赤らめ嬉しそうな表情の女子数人が居て。
テーブルに置かれた紅茶やら菓子やらのセットと、そして広がる羊皮紙やらを見ると、お茶でもしながら勉強会、らしい。


つうか、リドルの奴にこにこにこにこ愛想振り撒いてんじゃねえよ、バーカ!
愛想笑いだってバレバレだけど、周りの女子共は騙されてんじゃねえかよ。
し、しかもリドルとちけえし、か、肩に寄りかかったりしてるし…!
勉強しろよバカ!


フォークで突き刺した野菜を口に入れ咀嚼する。
と、リドルがひとりの頭を撫でたのを見て、思わずごくりとそれを飲み込んだ。


ダアアア、くそ、ムカつく!
リドル、このやろう…もう俺の頭撫でてこようとしても、ぜってえに避けてやる!
ほかのやつを撫でた手で俺を撫でて欲しくねえ、っつうか…馬鹿じゃねえの、俺。
何、このワガママな考え。
しかもリドルに頭撫でてもらうの避けるとか…それ俺にしか、損ねえじゃん。


ハァ…とため息をついた俺は、頬杖をついて、リドルが居る場所とは反対の方に顔を向ける。


「よお、名前!」


すると顔をつかまれて勝手に、顔の向きをまた戻された。
首が痛んだ俺は、その強引さに目の前の男を睨み上げる。


「テメェ、ハーマン、お前はその強引なとこ直せっていつになったら…!」
「ハハ、わりいな、痛かったのか?」


当たり前だ!と言おうとして、けれど金属音が響く音がして思わず、場所を見る。

すると場所はリドルが居る一角で、スコーンやら菓子類が飾られたケーキスタンドが倒れていた。
リドルは少し、そして女子は慌てながら戻している。


「ところでよ、ルイとスコッティーとグレッグは?」
「ああ…あいつらは、イタズラがバレて説教中」
「ハハ、さすが名前!一人だけ免れたのか!」










「――本当にごめんよ」
「気にしないでトム、けれど、どうかしたの?」
「いや…別に何もないよ」


にっこりと微笑めば、頬を赤らめる女達。

僕はそれに少しの軽蔑を感じながら、少しの焦りとともに、名前が居る場所を見る。
さっきまで一人だった名前の隣には、楽しそうな笑顔の、グリフィンドールのハーマンが座っていて、僕の胸に苛立ちが現れる。


さっき、名前の顔をハーマンが無理矢理振り向かせた時の顔の距離…あれはいったいなんなんだ、近すぎるだろ。
思わず動揺して、ケーキスタンドを倒してしまったし…まったく、僕を少しでも慌てさせるなんて。
…いや、それは別にいいんだ、名前が僕の感情を動かす唯一の人だってことは。
問題はそう、距離だ、顔の距離…!


するとハーマンが、名前の皿に残っていた人参にフォークを刺して、それを名前に向けた。

僕は思わず怒りから歯を食いしばり、そして右手は羊皮紙を握りしめていた。


「ト、トム?羊皮紙が…」
「ど、どうかしたの?具合でも悪い?」
「いや…大丈夫…」


ああもう本当に鬱陶しい。
君たちにかまってる暇は、今は無いんだよ。
いつもだってまあ、我慢しながら、だけれど。
――それより、ハーマン…!
そういうことを名前にしていいのは、この僕だけなんだけれどね…!


すると名前がハーマンのその手をバシリと叩いて、ハーマンの片頬を引っ張った。

ハーマンを拒絶したその行為に、僕はホッと息をつく。
けれどハーマンがお返しに、という風に名前の頭を掴んだのを見て、僕は頬がひきつりそうだった。


「あのね、トム、その…ここの問題はどうやって…」
「ごめんね少し待って、考えるから」


ハーマンはすると、名前の髪が気に入ったのか、掴むのをやめて撫でるように触る。
名前は不機嫌そうな、不本意そうな表情だ。


クソ、名前を撫でていいのは僕だけ、だ…!
消毒でもないけど、拭い去りたいから後で、思いっきり抱きしめて思いっきり撫でる。
あ…けれど無防備な名前にお仕置きとするなら、しばらく名前を撫でないのも良いかもしれない。


――素直じゃない、まあそこも可愛いんだけれど、名前は、反応を隠したり、偽る。
それでも、抱きしめれば照れているし、頭を撫でれば照れながら、そうして嬉しそうに頬を緩める。


ああ、やっぱり無理だ、名前をしばらく撫でないなんて、僕が無理。
僕が撫でて、そうして頬を緩めるあの名前の顔をしばらく見れないなんて、無理。
もう本当、名前、可愛い。
好き。





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