休日、イタズラから帰って来た俺は、ベッドの上、あお向けで寝ているリドルを、ドギマギとしながら結構な距離で、見つめていて。
リドル、寝てんの、か…?
――リドルが過去に狸寝入りしてた前例は今までに一回…いや、二回か…?
まあ回数はなんでも良いが、問題なのは俺が、リドルの狸寝入りに確実に騙されてきた、っていうことであって。
リドルの隣に寝ころがり肘をついてリドルを覗き込むような状態だった俺は、けれど心臓がそう持ちそうにねえので、同じように普通に寝ころがって、リドルを見る。
おわ、睫毛なげえ…それに少しだけど隈、出来てんな。
――そういやリドル昨日、最近薬草学の教授の人使いが荒いっつってたな…また愛想振り撒いてんのかよ。
「無理してんじゃねえよ、馬鹿リドル」
ぼそりと呟くと、けれど変わらず寝息を立てるリドルの、少し開いた口元。
その唇を捉えた瞬間、昨日のことが頭をよぎって、一瞬で頬が熱くなる。
シーツを握りしめて、顔を少しベッドにうずめた。
お、俺の馬鹿、何一人で思い出してんだよ!
恥ずかしい…!
――つうかリドル、本当に寝てんだ、な。
リドルを上目でちらりとうかがう。
そしてその目が閉じられたままなのを確認してから、俺は視線を、リドルの胸の辺りに下げた。
片方の手はベッドの上に投げ出されている、けど、もう片方の手…俺側の方の手は、リドルの胸の辺りに乗せられていて。
俺はその手を、強く動く心臓によって少し震えながら、繋ぐように握る。
そうしてそのまま自分の顔へと寄せると、頬をあてた。
――いっぱいいっぱいの苦しさの中で、俺はぎゅうっと、目を閉じた。
――そうして数十分後、リドルが起きる…まだ微睡んだ思考の中、けれど名前が視界に、そして直ぐ近くにうつったことに、リドルは心臓を跳ねさせた。
けれど直ぐに、溢れんばかりの嬉しさと、そして愛しさに包まれる。
「あ…」
そうしてリドルは、自分の手と名前の手が繋がれていることに、気がついた。
そして、その手に名前が頬をくっつけて、寝ていることにも。
――普段、近づいても照れから押し返したりしてくる名前のこの行動に、リドルは頬の熱を感じながら、もう片方の手で自分の顔を覆った。
「名前の馬鹿…大好きだ…愛してるよ」
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