恋い焦がれた太陽 | ナノ
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「あのよ、リドル。今度スリザリンの制服借りていいか」
「…つまり、僕の?」
「おう、スリザリンの奴に化けて悪戯しようぜ、って話にルイ達となってよ」
「それは全然構わないんだけれど…――ねえ、名前」
「あ?」


疑問符を浮かべた俺に、リドルはにっこりと笑った。






「――なあ、リドル」
「なんだい?名前」
「別に…シャツからお前の着る必要なくねえか?ベストは確かに要るけど…」
「駄目だよ名前、化けるなら徹底的に、ね」
「お、おう…?」


――寮ごとに違うのはネクタイやらベストやらローブやらで、シャツは同じだ。

それなのにシャツから貸してくる、そして、化けるのはまだ今度なのに今から試着させようとするリドルに、俺は少し驚いている。


意外とイタズラとか、乗り気なんだな。
初め、ズボンまで用意し始めたから、それは流石に大丈夫だって言ったけど…。


「じゃあ、はい名前」
「おう…ありがとう」


ネクタイやらローブやらをベッドの上に並べたリドルは、満足そうに笑うと、俺にシャツを手渡す。

俺はそのシャツに手を通して――はた、と動きを止めた。


「か、わいい…名前…!」
「ハ、ハァ?どこがだ!お、俺とお前にこんなに…差があったのか…?」


男として情けないような気持ちで、ガクガクと少し震える自分の手を見る。
けど、手はリドルのシャツの袖から出ていなくて、指先が少し見える程度。


「しかも肩もぶかぶかで…僕もう、どうしたらいいのか」
「ど、どうもしなくていいっつうの…つうか、俺は平均だよな…?」


そして自分の疑問に、うん、と自分で頷いた俺は、ボタンをするとリドルにことわってからローブを借りた。


「――待って、もう、どうしよう、名前」
「俺も、まさかこんなに差があるとは…」


話が噛み合っていない気もしたけど、俺にはぶかぶかとした制服が少なからずショックに似たような気持ちで、相変わらず指先しか見えていない右手で頭をかく。


「あ…」


そして、フワッと香ったリドルの匂いに、心臓が跳ねて、速く動いていくのを感じた。


「名前?」
「あ、いや…――やっぱり制服、いい。リ、リドルじゃなくて誰か他のやつに」
「 え ? 」
「ヒッ…?!」


言うといきなり降臨した魔王の笑顔に、思わず声を上げて肩を揺らす。

リドルはどこかゆらゆらと近づいてくると


「名前が、僕以外の誰かの制服を着る…?」
「お、おい…?なんだよ…」
「ダメに決まってるよ、僕のしか着ちゃダメ」
「ハァ…?なんで」
「名前こそ、どうしてそう言うの?」


俺はグッと言葉を詰まらせると、長いローブの袖で口元を隠して、目を逸らす。


「ひ、引かない、かよ…?」
「何、が…?」
「あの…なんつうか、これ…リドルの匂いして…心臓…ドキドキ、する」


するとガシッと両肩を掴まれて、跳ねるように顔が上がった。


「もう、本当、どうしよう、とりあえず名前は、僕の理性の強さを褒めてよ」
「え…え…?」
「ああもうどうしよう」





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