恋い焦がれた太陽 | ナノ
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昼前の授業をサボって、ホグワーツ内のとある庭に寝転がっている。
今日は天気も良くて暖かくて、そして風も適度に吹いている、なんて絶好のサボり日和だからこうしている。
それに湖もあるこの庭は、スゲェ気持ちいい。


「あ…?」


するとローブのポケットの中である物が震えて、俺は寝転がったまま少し眉を寄せて、それを手に取って見る。

――それは俺、ルイ、スコッティー、そしてグレッグの四人だけが持っている(というか俺達がつくった)、マグルでいう電話みたいなもの。
つっても会話までする必要も感じられなかったから、その機能はつけなかった。
誰か一人でもが魔法をかければ、他の奴が持っている物が震える。
大体の目的は面白いことがある時や、見つけた時に呼び集まるためだから、宙に浮かせれば魔法をかけた奴の方向に向かって飛んでいく。


「――面白いことでもやってんのか…?」


――と言っても今は別にその機能に頼らずとも、ルイたちの居場所は分かる。

俺が今まさにサボっている授業を受けている筈だ。

――俺は少し考えてから立ち上がって、一応、代物を宙に浮かせた。










「――やあ、名前」
「リ、ドル」


――結局代物が示した場所は、サボっていた授業が行われている教室で――静かに入った俺は、一番後ろの席に一人で座るリドルを見て、思わず瞬きを数回。
そうしてリドルの口パクの言葉に、俺も思わず掠れた声になった。

リドルが、座っている長椅子を少し嬉しそうに微笑みながら軽く叩く。

俺はそんなリドルの笑顔にドギマギしながらも、教授に気づかれても厄介だから、特になにもせず座った。


「ふふ」


笑うリドルに、心臓のあたりが勝手に緩む。
瞬きをしながら少し目を逸らせば、左前の方の席でニヤニヤしているルイ達が視界に入って。


ア、アイツら、まさかこの為に俺を呼んだの、か…?


少し睨みつければ、ルイが、声には出してねぇけどケラケラ笑って、そして教授に怒られていた、バカだ。


――つうかアイツら、面白いものとか面白いことを見つけたりした時の為の物を…。
ルイの変装技術で俺達には仕掛けねぇっていう暗黙の了解みたいなもんもこの前破られたし…クソ、俺でからかいやがって。
…まあ、あの時のことは…感謝、してるけど。


俺は、リドルが居る左側に少し意識が思わずいきながら、遠く前に居る教授を見る。

たまに実験があるこの授業も、今日は、それぞれが自分の羊皮紙と教科書に向かって羽ペンを動かす時間らしい。

実験ならまだな…と少し眉を寄せた俺は、一応教科書を開いて――


「…!」


ビクッと跳ねた心臓と共に、左半身を揺らした。
そしてその起点となった左手は、机の上で、リドルの右手に握られている。

慌ててリドルを見れば、リドルは笑顔のまま、嬉しそうに目を細めて、そしてまた口パクで、今度は「好き」と二文字だけを言った。

俺の頬の熱が一気に上がる。
反射的に手を引こうとすれば握られている力が強くなって、俺はリドルを見上げる。


「、」


けど、恥ずかしくて何も言葉に出来なくて、とりあえず授業中と教室だという意味を込めて、羽ペンで教授が居る、前の方を示した。

リドルは少し息をつくように笑うと、自分の右手を、俺の左手を握ったまま、椅子の上に下ろす。
そして俺の右手の甲に重ねて握っていたような形から、俺とリドルの手のひらが合わさるような握る形にした。


…これで、見えてねぇ、ってことかよ…。


俺は、少し強く身体に響く心臓の音を感じながら、繋がれたリドルの手を、触れるだけのような弱さで握り返した。
――そして、恥ずかしくて速攻で机に突っ伏した。


「あれ?ルイ、スコッティー、見てよ。名前、寝ちゃった」
「本当だ、せっかくリドル君の隣をセッティングしてやったのに」
「おい待て、珍しいぜ、リドル君まで寝た」





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