「僕が不安になる必要はないっていうのはよく分かったんだけれどね?ほら、やっぱり、好奇心で」
「だからって人に――真実薬飲ませる奴が居るかよ、バカ!あと近い!」
「近かったら、ダメかな」
「ダメじゃねえに決まってんだろ!けど…し…心臓、苦しい、し…!」
「名前可愛い」
「だ、から前にも言ったけど抱きしめられたら…!」
「じゃあ離れた方がいい?」
「い、やだ…!」
ああもうあり得ねぇ…!と思えばそれは真実薬のせいで口からスルリと飛び出して。
リドルが、それも本音なんだ、と笑う。
「真実薬は三滴だけでも直ぐにペラペラと話してしまうらしいから…少量でよかった、恥ずかしがりながらつっかえて言う名前が可愛すぎるよ」
「か、可愛いとか、言うな」
リドルはクスリと笑うと少し身体を離して、
「ねえ名前、何かしたいこととかあるかな。普段は名前は、自分の願いとかでさえ素直に言わないから、この機会に、何でも聞くよ?」
「願、い…――じゃあ、」
パッと頭の中に浮かんだことを言おうとして、間一髪のところで唇を噛みしめて阻止する。
けど直ぐに、俺の意志とは反対に、口が勝手に開いて。
「きょ、うの、夜…」
「名前、真実薬に逆らおうなんて無駄だよ、――僕の調合は完璧なんだから」
せめても、と俺はリドルから視線を逸らした。
「一緒に、寝たい…」
「――え…」
「昨日の夜、ちょっと喧嘩みてえになって、俺もリドルも端で寝たから、今日は…」
ジワジワと熱い頬は、キツく抱きしめてくるリドルに隠されたから、リドルに見られることはなくなった。
「うん、一緒に、寝よう」
「…あのよ、リドル、それで…あの、今まで俺、背中向けてたけど…こ、これからはリドルの方向いて…い、いい…いたたたたた!」
「もちろんだよ名前、一緒に、こうして抱きしめ合いながら、寝よう」
「こんなんで寝られるか!」
あまりにリドルが抱きしめてくる腕の力が強いからそう言えば、リドルの手が後頭部に回って上を向かされて――
「」
――そうしてどれくらい時間が経ったのか、リップ音を軽く立てて離れたリドルを、俺はぼんやりと見上げた。
「ごめんね名前、聞かないでキスして…でも名前の答えを聞いたらキスだけじゃ」
「――き…」
「おさまらないような…って、え、何?名前」
「リドル、好き…」
――薬は、用法、用量を守って正しくお使いください。
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