恋い焦がれた太陽 | ナノ
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「おい、グレッグ」
「どうしたの?名前」
「ちょっと聞きたいことがあるんだけどよ…」


大広間――なあに?とにっこり笑って首を傾げるグレッグに、俺は少し目線を下に泳がせたまま頬をかいた。


「お前、彼女いたよな」
「え?うん、いるけど…」
「…つまりはそいつのこと、好きだってことだよな」


顔を赤くして驚いたようにまた首を傾げたグレッグは、俺の促すような眼差しに、照れくさそうに笑う。


「まあ、そうだね…好きだから付き合ってるわけだし…」
「…あ、あのよ、――す…好きって、どんな…感じ…」


頬が熱くなってくる。

それに驚いているらしいグレッグの視線におずおずと返せば、グレッグはパアッと顔を輝かせた。


「もしかして名前、リド…!」
「ば、馬鹿!声がデケェ!」


俺は慌ててグレッグの口に手をやると、周りを見回してから息をつく。

グレッグはごめん、と申し訳なさそうに、でも声音が弾んでいるのを隠せずに言った。
そうしてグレッグも一旦周りを見ると、少し顔を低くして身体を俺に寄せて、


「名前、好きになったの?リドル君のこと――って、違うの…かな?名前さっき僕に、好きってどんな感じ?って、聞いたもんね」


一人で問答しているグレッグに、俺は何も言えずに、頬の熱を感じたまま目線を泳がせる。


「うん、じゃあ、そっか、僕の答えがアテになるかは分からないけど、少しでも名前の力になれるなら、答えるね」
「グ、グレッグ…!あ、りがとな」


グレッグはにっこりと笑ってううん、と首を横に振ると、少し考えるようにして、


「とりあえず、傍に居たいなあって、思うよ」
「…傍、に…」
「会えない日があると、やっぱり悲しいかな」


…傍に…傍に居たいか。
――前に、ホグワーツ外まで教授の誰かの付き添いに行くって話をリドルから聞かされたとき、別に俺は、悲しいとか、思ってねぇよな、うん。



「つまり名前は僕が居なくて、寂しかったんだよね?」



いや…いやいやいや。
ちげぇだろ、夜眠れなかったのは…リドルと寝ることに慣れてきてて…だから、その…常識が変わったから、っつうか…。


「あとは…そうだね、傍に居ると、ドキドキする」



「そう?それならいいや、一緒に寝ようよ」
「う、ぎゃああああ」

「テ、テ、テメェ!何しやがる!」
「そんなに取り乱して顔赤くしたら、勘違いするよ」



「…………」
「それに、うーん、ベタかもしれないけど、やっぱり笑顔が好きだなあ」
「…お前、にやけてる」
「え?あはは、思い出すだけで…。…なんていうか僕は、好きな人が笑顔だったり、喜んでたりしたら、僕まで笑顔になっちゃうんだよね」


幸せそうに、って言葉がよく当てはまるように笑ったグレッグの言葉に、リドルの笑顔が脳裏をよぎる。


――リドルが俺をからかって、俺が怒って、許して欲しいと悪戯気に笑うリドルの顔を見たら、ため息をついたり減らず口を叩きながらも、許しちまう。

――リドルに抱きしめられたりしてる時に…まあ近距離でリドルがにっこりと笑うと、心臓の動きが速くなる。

――リドルが優しく笑ったら…心臓が締め付けられるようになって…――いつの間にか、俺まで笑ってる…。


「…そういえば、名前」
「あ…ああ、なんだよ?」
「僕、てっきりリドル君のことかと思ってたけど…もしかして違う人のことだったりとか…した?」


俺はグレッグの言葉にギクリと固まってから、少し下を向いて、首を横に振った。


「…そっか、やっぱり、リドル君だったんだね」
「ま、まだ分かんねぇけど…好きかどうか、とか……せっかく教えてくれたお前には、わりぃけど…」
「そんなこと全然気にしないでよ!――でも、ふふ、嬉しいなぁ」
「う、嬉しい?」


疑問符を浮かべると、グレッグはにっこりと笑って頷く。


「僕はね、最初、リドル君の想いが報われなくても、それは仕方ないことだよねって、思ってた」
「お、おう…?」
「リドル君はいい人だけど、だからって恋が成就するわけでもないから」


いい人…?と首を傾げるという名のツッコミを入れることは、やめておいた。


「でもね、あの、名前がクディッチの練習試合で怪我して気絶したときに――あんなに血相変えて飛び込んできたリドル君を見て、応援したくなった」
「お…おう、えん…」
「名前が本当に好きなんだなあって、分かったもん」
「グ、グレッグ…!」
「あはは、それに、名前のブレスレットが壊されちゃった時にも、一緒に中庭をレパロし回って、思った」


グレッグは笑顔のまま俺を見ると、


「性別は、僕は特に気にしないよ。でも、名前は僕の大切な友達だから、名前の恋人になる人は、やっぱり考えちゃうよね、姑みたいだけど」


名前が傷つくようなことになったら嫌だからね、と言うグレッグに、俺は内心で物凄く感動している。

そしたら顔に出ていたのか、グレッグが、友達だもん、と笑った。


「だから、もし名前がリドル君の想いに応えるようなことになったら、僕もスゴく、嬉しいよ」
「グレッグ…」
「頑張って自分の気持ち、見つけてみてね、名前。僕はいつでも、僕に出来ることなら力になるから」





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