「なあおい、ぶっ、はは!知ってるかよ、名前」
「何がだよ、つうか実際お前今の自分鏡で見てみろ、キモいしこぇえ」
――ホグワーツ魔法学校は、四つの大きなクラスに分けられている。
「ねえトム、わたし、前からいちど見てみたいなあって思うことがあってね…?」
「何かな、遠慮なく言ってよ、ミス・ウォーカー」
グリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、スリザリン。
そうしてグリフィンドールとスリザリン、これは両極端とも言え、敵対しているような二つのクラスだ。
「いま女子の中でよ、お前とあのリドルのツーショットが見たいだかなんだかって!」
「名前君とトムって、話したことあるのかしら…?その、今度…話してみたらどうかしら?」
その両極端の二つのクラスにおいて、容姿端麗、成績優秀、人々を魅力してやまない二人の生徒がいた。
「はあ?リドルって…スリザリンのアイツか、わけ分かんねえし、俺はアイツ嫌いだからな、お断りだ」
ひとりは名前・名字。
グリフィンドールの生徒で、ホグワーツには珍しい、東洋系、日本人だ。
艶めく黒い髪の毛に、同じ色の瞳。
成績優秀なのだけれど悪戯好きで、提出物やら実験の鍋やらに、色々とイタズラを仕掛けている。
「名前・名字か…彼は成績優秀で、加えてクディッチでもシーカーをつとめる程の腕前の持ち主だからね…僕なんかとは話したくないんじゃないかな、ふふ」
そしてもう一人はトム・マールヴォロ・リドル。
スリザリンの生徒で、こちらも同じく成績優秀。
教師からの信頼も厚く、丁寧な言葉遣いで話をする。
「ひっでーの!話したこともねえのに」
「あら、そんなことないわ?トムはとても素敵で…なにより名前君だってあんな口調だけれど、本当はすごく優しいのよ?」
いままで同じ高さにいながら、けれど最も遠い場所に立っていた、その二人。
「だからよ、」
「いちどくらい、話してみてはいかが…?」
その二人の道が、今まさに交わろうとしている。
「ふざけんじゃねえ」
「(ふざけるな、全く)」
――…かもしれない。
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