「ねえ名前、ここがよく分からないんだ」
「あー…?ここは、教科書の37ページに載ってた」
「読んだけど、分からないんだよ〜教えて?名前」
「いや、可愛くねぇし」
首をこてんと傾げて舌でも出そうかというルイの頭をベシッと叩いてから、説明しようとルイへ身体を寄せる。
「いや、つうか……本当に勉強会なのかよ!」
そしたら、スコッティーがそう言って。
ルイとグレッグは疑問符を飛ばして、俺はハァ?と眉根を寄せ上げる。
「俺は、勉強会という名の恋バナをするのかと…!」
「恋バナとかキモい」
「キモいね…」
「のろけたいなら一人で喋ってろよ、スコッティー。ちゃんと無視しててやっから」
「お前らヒデェ!つうか聞かないのかよ!って、そうじゃねえ!」
机に足を乗っけていたスコッティーは、その長い足をしまうと、真っ直ぐに俺を見た。
「お前の話だよ、名前」
「ハァ?俺の話って…」
「ああ、リドル君のこと!」
グレッグがひらめいた、というように手を叩いて言った言葉に、俺は思わずグッと言葉に詰まる。
「しかし驚いたよな、まさかあのホグワーツ始まって以来の秀才、優等生のトム・マールヴォロ・リドルが、また結構なカミングアウトをしたもんだぜ」
「いや、つうかアイツ…本性は魔王だから、周りの奴等にどう思われても結局は気にしないだろうからな…」
「まだ魔王とか言ってるのかよ、…照れ隠し?」
「ルイ、お前は耳を取り替えてこい」
今の俺の言葉のどこに照れ隠しの要素が。
「でも、まだ嫌いなの?」
そしたら、グレッグが少し不安そうな顔で、聞いてきた。
「名前、リドル君のこと嫌いだって言ってたから…」
「……前よりは、嫌いじゃねえけど」
「好きじゃないのか?恋愛感情とかは置いといて、人間として、とか、友達として、とかでもよ」
「…おい」
「ていうか名前って素直じゃないから、友達としてでも好きとか言わないよ」
「あのなあ!別にどうでもいいだろ、んなこと!――ルイ!教えてやんねぇぞ!」
「おかえり、名前」
「……ただいま」
そうして、夜。
部屋に帰ると、リドルはもう先に戻っていた。
ドアを開けると、暖炉の前の椅子から腰を上げたリドルの言葉に返すと、リドルがにっこりと笑うから、よく分かんねえけど…調子狂う。
「遅かったね」
「あー…ルイ達と、今度のテストの勉強してて、な」
「勉強……僕もしたいな、名前と」
ローブを脱いでいた俺は、その途中の姿勢でとまってリドルを見上げる。
「お前と俺で勉強しても、あんまり意味ねぇだろ…」
「…確かに、名前も僕も、誰の助けもいらないか」
ああ、とリドルの言葉に頷いた俺はローブを脱いで、
「問題を間違える度にイタズラっていうの、やってみたかったんだけどな」
「テメェとは絶対に勉強しねぇ!馬鹿リドル!」
それをリドルに投げつけた。
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