「ダッ…?!ちょ、くっ、つくな馬鹿!!」
寝る頃になって、ベッドの端の方に、リドルに背を向けて横になる。
ベッドの弾力なんかは、思った通り抜群に良くて、俺は少し嬉しかった。
「離れろ、って!」
けど、リドルの馬鹿野郎が後ろからまとわりついてきて、その気分は早くも崩れた。
かと思えば、リドルにしたらあっさりと引き下がって。
少し怪訝にしながらも、俺は息をついて、そうして目を閉じた。
「ぎゃ…!」
――するとその直後。
部屋の温度が急低下して、俺は目を見開いた。
吐く息が白く空気に溶ける。
顔も布団の中に引っ込めたいのを我慢して、首だけで、そしてあまり動かさねぇで、リドルを振り返る。
「リ、リドル、てめ…」
何してんだ、と言いたくても、歯が上手く噛み合わねえ。
舌が上手く回らねぇ。
するとリドルの手が回って、引き寄せられる。
「名前、寒そうだね。ほら、僕は暖かいから」
「バ、カやろ…これ、が、狙いか…よ」
「そうだよ、気づかれた?」
リドルの策にハマってしまったのはムカつく、が、リドルの体温は確かにあったけぇ。
「…子供、体温が…」
「っ…?!うわ!」
――そうして次の日目が覚めたのは、リドルの、驚いたような声が目覚ましで。
眉を寄せながらぼうっとして数秒、寝る時は背中を向けていた筈なのに、今は前に居るリドルに、俺こそ声を上げた。
「テ、メェ!なに勝手に変えてやがる!」
「心外だ!僕こそ今、起きて…っ」
「つうか魔法といたんなら早く離れろよ!馬鹿!」
「その言葉は、名前にだって言える筈さ。魔法をといて寒くなくなったのなら、僕の腕を振りほどいても良かったんだよ?」
「っ…それは、寝てたんだから、知らねぇよ!」
「まぁ離れようとしても、離さないけどね」
111021