図書館の奥のほう、机に足を乗せて顔に本を乗っけて寝ていたら、
「っ…!、?!」
つつーっと首を撫でられて、息をのんで起きた。
その拍子にバサッと本が落ちて、現れたのは。
「リ、リドルてめぇ、俺の安眠を妨害しやがって…、?」
そこで俺は言葉を止めた。
リドルが自分の胸元の服を握りしめながら、珍しく歯を食いしばったような顔で、俺を見てきたから。
「お、おい……?」
「もう…なんなんだ、僕は」
「…!リドル、お前大丈夫かよ、頭でも打ったのか?医務室でも行くか?」
何様俺様リドル様、なこいつが、自分のことを謙遜…!じゃあねぇか。
自分のことを…後悔?してるわけでもねぇのか?
「とりあえず気味が悪すぎるから医務室行けよ…!」
「――あのさぁ、名前…」
「あ…?」
「僕がこうなったのは、誰のせいだと思ってるんだ…!」
リドルに胸ぐらをつかまれて引き寄せられた。
優等生演じてるリドルが、人気は無いとはいえ図書館なんて場所でこの言動……やっぱり頭打ったのか…!
「つうか離せよ!俺に関係ねぇだろ!」
「いや、大有りだ…!大体まず、この制服の着方…!なに考えてるの、馬鹿だろ」
「カッチーン、どこが変なんだよ?!」
「とりあえず、ネクタイをちゃんとして」
「ハァ…?嫌に決まってんだろ、窮屈だ」
ネクタイは結ばずに、ただ首にかけているだけだ。
それを結ぶとなったら、二個開けているボタンのうち、最低でも一つは留めなきゃならなくなる。
「今さらなんなんだよ、俺は前からこれだ」
「…それは…」
「つうか、お前に関係ねぇだろ、リドル」
「っ…関係あるんだよ!僕だってよく分からないけど、食いつきたく――」
「…え、なに今、食いつきたく……え?」
一瞬青ざめたリドルに、俺も冷や汗が流れる。
「 ネ、ネクタイに…とか、言わねぇよな…?」
「――言うわけないだろ!名前、君は僕を人間だと思ってないのかい?」
「まあ、魔王とかかなとは常々思ってたけどよ。 だってお前、ネクタイちゃんとしろって言っただろ。だからネクタイが無防備だったら、食いつきたくなんのかなって」
「違うだろ…!馬鹿」
「ンだとコラァ!お前が先にわけ分かんねぇこと言ったんだろうが!」
111016