「よぉ、新八と神楽に口添えしてくれたみてぇじゃねーか。マヨネーズの摂りすぎでついに頭おかしくなったか?」
「――ガキの世話はちゃんとしとけよ。つうかお前、今マヨネーズを侮辱したか、侮辱しただろ」
「いや、どっちかって言うとお前を侮辱した」
「ンだとコラァアアア!」
土方に胸ぐらを掴まれても顔色一つ変えない銀時は、そのままニヤッと笑った。
「まあ礼は言っとくぜ、ありがとな」
「――ちっ、テメェこそ、糖分の摂りすぎで頭がおかしくなったみてぇだな」
雑に銀時から手を離すと、新しい煙草に火をつける。
そして煙を吐くと、銀時を見ないままに、
「…少し前に、警視庁の科学班の奴がとある攘夷グループによって拐われた」
「この高城っつう男は、爆弾やら何やらを作る幕府側のプロだろ?」
「ならコイツを奪えば一石二鳥!幕府には穴が空き俺らには利益が出る、…筈なのに、とんと口を割りやがらねえ」
「そしてその攘夷浪士らを、アイツが捕まえた」
「まあ事実を言えば、今からテロリストの所へと行ってくるから、これにて」
――ああ、と銀時は言った。
「よく知ってるさ」
「…近頃、その攘夷浪士達に関する、イヤな情報が入ってきた。 内容は、残党が、核を狙ってるって話」
「…………」
「核をどこから狙ってやがるのか、まず、核なんてもんがどこにあるのかは知らねぇが…もしこれが本当の話なら、世間を揺るがす大問題だ」
土方が銀時を見る。
逆に銀時は今は、いつものような目で、どこかに視線をやっていた。
「――だが、核の所在や信憑性以上に不思議なのは、この情報の流れの速さと多さだ」
「…」
「浪士達から真選組まで多く情報が流れるっつーことは、偶然か仲間か、誰か話を知ったやつが、事態をとめて欲しいと思ってる奴がいる」
「 あとは、事態が起こった時に疑いの目がソイツらに行くよう、前もって誰かが罪を着せてるか…だな」
土方はいつもどおり、瞳孔の開いている目を丸くした。
「お前にしちゃ珍しく冴えてるが…おかしくなったついでに九十度くらい回ったのか?良かったな、オメデトウ」
「相変わらずムカつく奴だなテメェはよぉ」
眉を寄せて歯をぎりぎりと鳴らす銀時だけれど、それ以上に言わないのは一応、昨日に小太郎から、まったく同じ話をされていたからだ。
「――というわけだ…多々おかしい点、気になる点があるからな。それはこれから調べる必要がある。 そういえば銀時、」
「あ?」
「近々、坂本が地球に来ると文で連絡がきていたぞ」
「どうでもいい!」
「ったく…」
銀時は土方を通り過ぎて、歩き出す。
「――おい」
けれどそんな銀時を、土方が声だけで止めた。
「 アイツが捕まえた奴らから聞き出した情報だから、本当に確実なこととは流石に言えねぇ」
「…」
「けど俺達…真選組のつかんだ情報からじゃあ――」
「 あとは、事態が起こった時に疑いの目がソイツらに行くよう、前もって誰かが罪を着せてるか…だな」
「残党なんてのは、居ねぇ」
111018