「…小太郎、大丈夫?」
「…名前か、お帰り。大したことない、心配するな」
「だァから、俺が前行くっつったのによ」
「今日は銀時と小太郎でペアだったんだね。…って、銀時もやられているよ」
「こんなの怪我の内に入らねェよ」
「フン、利き腕を斬られておいて何を言う」
「ンだとヅラァ、お前なんか足ざっくりやられたくせによォ!」
「ヅラじゃない桂だ!」
母屋に帰って来れば井戸の方で傷口を洗っている小太郎と縁側に座って苺牛乳を飲んでいる銀時が居た。
何時ものようにぎゃあぎゃあと言い争いを始めた二人を笑いながら眺めていると、後ろから
「あ!わしらも井戸使いたいぜよー!」
「うおッ!…辰馬テメェ、引っ張んな!」
辰馬と晋助が帰ってきた。
振り返れば、二人も銀時と小太郎に負けない程ボロボロで気休め程度に巻かれた着物が肩やら腕やらに見える。
――いつも銀時、小太郎、辰馬、晋助でローテーションだかペアだかを決めて、この四人をリーダーとしてグループを作り激戦地に行っている。そして私はいつも、四人とは違う場所。
それほど激戦地じゃない場所に勝手に振り分けられている。
…まあ、四人が何を思ってそうしてくれているのかは分かっているつもりだ。
それにその方が――私としても、やりやすい。
「…さて、着替えてこよう」
「む?そういえば名前は怪我はしておらんのか?」
「ああ、適当に逃げていたら大丈夫だったよ」
「流石じゃきー」
辰馬の言葉に笑って、母屋に入った。
――怪我をするのは、面倒臭いから嫌だ。
治療するのは痛いし、かといって治療が嫌で放っておいたら下手すれば腐る。
そうなったら面倒臭いの最大級だ。
…まあ怪我してないからと言って、天人が来てない訳じゃないんだけれどね。
中心であれそうじゃなくたって戦場は戦場。
それに天人の位置や動きを予想して此方の戦力を配置しても全てが全て当たる訳じゃない。
四人には言ってないけど激戦地よりも多い数の天人を相手にした事も何回もある。
101104.