「ああ〜名前チャン、元気でやってるかぃ?」
「お陰さまで。で?何かありました?」
「そうなんだよ、聞いてくれるかぁい。栗子が、栗子がよォオオ!」
―――戦争終結から数年、私は幕府機関のとある所で働いている。
「栗子の奴、また変な男にひっかかってるみてえでよぉ、栗子ォオオ!」
この栗子栗子叫んでる男、というか上司は松平片栗虎。
警察庁長官だ。…けど、
「だからよぉ、だからよぉ!また名前から何か言ってくれねえかぁ?!ゴリラ達じゃあてになんなくてよぉ」
「ああまあ話くらいは。ていうか何でゴ」
「よぉしい。これであの糞野郎とは別れるってわけだ」
栗子という愛娘とキャバクラが一番で、破壊神の異名を持つ何とも面白い?人だ。
確かに栗子は私が(松平さんから頼まれて)肯定的じゃないような事を仄めかしたら簡単に別れちゃうからなあ。
高笑いしながら去っていく松平さんを見送って、またパソコンに視線を戻した。
――戦争が終結してから直ぐの時、私は襲われそうになっている松平さんを見かけた。
松平さんはべろべろに酔っ払っていて、だから助けた。
そしたら松平さんは私の手を掴み言った。
「俺の下で働け」
何故か酔いが覚めていた松平さんの言葉を、私は受け入れた。
攘夷戦争に参加していたのに今は幕府の機関。
攘夷浪士からすれば有り得ないと憤慨するだろう。
けど元々私は国の為に戦っていたわけじゃない。
国を愛し憂う心なんて持っていない。
―…晋助や小太郎は、攘夷浪士として活動しているけど。
幕府の機関に居れば攘夷浪士や他の事件のことは耳に入る。
高杉晋助、桂小太郎。
この二人は数ある攘夷浪士の一派の中でも特に有名。
それから坂本辰馬の快援隊も、拠点地は宇宙だけど地球への商いで快援隊の人がたまに来る。
銀時は…よく分からないな。
まあもう関係無い。
江戸に居てもどこに居ても。
「名前、帰り飲み行こうぜ」
「はーい」
関係無いんだ。
100118.