舞台上の観客 | ナノ
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――ナルト、サクラ、カカシらが、砂の里へと着いた。
サソリの毒にやられたカンクロウをサクラが治療し、そうしてやっと、カンクロウが話せる状態になった頃…。

ナルトが真っ直ぐな目をしたまま、ベッドの上で上半身だけを起こし、疲れやつれたような顔をしたカンクロウを、見る。
そんなナルトを横目で見たサクラが、自身もカンクロウを見て、口を開いた。


「カンクロウさん、辛いとは思います。ですが少しの間だけでも、暁について、話を聞かせてくれませんか」
「アンタも、あのとき居たよな。名前が、里を抜けて、…っ、暁に、入ったって、話ンとき…!」


――カンクロウは眉を寄せ、下げて、少しうつむきながら口を開く。


「敵…は、三人。一人は、我愛羅を連れてる……我愛羅の匂いを、追えばいい」


ナルトにサクラ、カカシが頷く。


「もし三手に分かれたとしても、一人は、そいつに」


そう言うとカンクロウは、ベッドの下に置かれた、壊れてしまった傀儡三体を指した。


「匂いがついてる……烏の手に、ソイツの服の一部を、握らせておいた」
「…転んでもただでは起きない。さすが、砂の忍」


動いたせいで少し痛んだ脇腹を押さえると、カンクロウはそのまま、どこか下を見た。


「もう、ひとりは……」
「…カンクロウ?大丈夫か」


テマリが、不安の色を滲ませた声でうかがってくる。
カンクロウはぎりっと歯を鳴らすと、顔を酷く歪めた。


「もうひとりは、名前じゃん…!二年経ったって、絶対に追える筈だ…!」


吐き捨てるような、感情を絞り出したような、声。



「あの時、自分が傷ついてまで我愛羅を助けようとした名前が…今度は我愛羅を拐ってなんて…、っ、考えたくもねぇってばよ」



「っ、名前が…我愛羅を、」


信じられない、――信じたくない、といったふうにナルトが顔を歪め強ばらせる。
サクラが唇を噛んで、手を握りしめる。
カカシが眉を寄せて、目を細めた。


「いつ、何が名前に起きたのか、なんて、俺には分からねぇじゃん。けど、名前は――変わってた」


ナルト達が驚きに目を開き、はっと顔を上げる。


「…昔、俺たちが兄弟でありながら、我愛羅のことを恐れてたとき…それでもアイツは、名前は、弟の傍に居て、笑ってくれていた」


カンクロウの顔が再び歪んでいき、手が握りしめられる。


「我愛羅は、里につながり生きるために……そして、名前を捜すために、暁の対策に乗りきらない砂を変えたいが為に、風影を目指して、なったんだ…!」



「戯言はよしてくださいよ、カンクロウさん」



「けど…っ!それを名前は、戯言だと言って、笑った!嘘だと言って、聞く耳なんてもたなかったじゃん…!」


我愛羅を想ってか、名前のことを考えてか…カンクロウは泣きそうになって、唇を噛み締めることで、それを堪えた。
けれど抑えきれないものが、震えとなってあらわれる。


「う、そ…名前、が…」


サクラが目を見開き、微かに震えながら小さく言う。
カカシもそのまま、固まっていた。
――ナルトは、


「とにかく…!我愛羅を、暁を、名前を追う…!」


顔を歪めたまま、けれど瞳は真っ直ぐに、片方の手のひらに、もう片方の拳をバシンとあてた。


「教えてくれて、ありがとな。――我愛羅は、ぜってぇに助ける!んでもって、名前も!ぜってぇに…!木の葉に連れて帰る…!!」





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