舞台上の観客 | ナノ
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「――名前」


ペインさんに名前を呼ばれ、私は頷くと、外道魔像の手のひらから、地面に倒れている人柱力の前に降り立つ。
そうして腰を下ろして――ゆっくりと、目を閉じた。



(――時空眼!)



再び目を開くと私は、外道魔像の両手指の上に立っているペインさんを見上げる。


「いつでも大丈夫です」


すると応えたのはペインさんじゃあなく鬼鮫さんで。


「しかし本当、さっきも名前には言いましたが助かりましたよ。尾獣を捕まえた時にリーダーから連絡を受け、それから現地へ向かうのは、中々に面倒臭い作業でしたからねぇ」
「それに封印にもえれぇ時間かかるしよぉ」


シルエットだけれど、飛段さんが首をかくのが分かった。


「それに、もうあの時みたいに、人柱力が尾獣を剥がされるのに耐えきれない…なんてこともないんだろう…?」


サソリさんの言葉に頷く。


「はい、そうならないように、人柱力の身体の時間を止めておきます」
「それはよかった、あの時は尾獣が飛び出して、大変なことになったからな。…しかし名前、人柱力の身体の時間を止めておくということは、――人柱力が尾獣を剥がされても死なないということか?」


角都さんの言葉に、私は微かに目を伏せた。
暗闇のなかで、地面に残る赤い血が、視界に入る。


「…いえ、それは…」
「まあ尾獣を剥がし終えたところで人柱力に用は無いからな、死んでも別段構わないだろ、うん」


――すると視線を感じて方向を見上げると、赤い瞳と目が合った。


「これから尾獣を狩る時は、なるべく名前を同行させろ。特に尾獣化する可能性を耳にする一尾、二尾、八尾、九尾、…まあチャクラが減り弱ってきたら、ほとんどだな」


けれど、直ぐにペインさんが話し始めたので、そちらに視線を移す。


「たとえ人柱力が尾獣化したとしても、名前の時空眼で尾獣をまた身体の中に消すことが出来る。ことを大きくして他の忍に気づかれ、追手に封印を邪魔されるのも面倒だからな」
「…ん?ちょっと待て、なんで尾獣を身体の中に消すことが出来んだ?」


頭をかしげる飛段さんは、シルエットなのにさっきから行動が分かりやすい。
にっこりと笑って、飛段さんを見上げる。


「左目は、過去の時空に関わります。だから出てきた尾獣を…簡単に言えば、巻き戻すことが出来るんです。そうして人柱力の身体に巻き戻したところで尾獣の時間をとめれば、私の身体がもたなくなるまで、尾獣化は出来ません」
「左目が過去…っつーことは右目は未来か!」
「はい、未来の時空に関わります。そして両目を使えば、現在の時空なんです」


今からは人柱力の時間をとめ、なおかつ尾獣を剥がす速さを、早送りする。


「じゃあ未来とかを視ることも出来んのか?うん」


――私はにっこりと笑った。


「出来ませんよ」










「げほっ、げほっ…!」


幻龍九封尽が終わり時空眼を解くと、急激に身体に負担が襲いかかってきて咳き込む。
すると背中に優しく手がおかれ、私はボヤける視界のなか見上げて、――そうしてまた、赤い瞳を見た。





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