――ピンポーン、鳴らされたチャイム音に、私はぎくりと身体を強張らせた。
夕暮れの暖かい陽射しが、もう殆ど何もない私の家の中を包んでいる。
…まさか…勘づかれた…?
いや、そんな筈は…。
部屋の中が見えないように、ドアを少しだけ開けて、顔を出す。
「――あ…」
「よ、ようってばよ」
「えへへ…来ちゃった」
そこには、少し気まずそうなナルトと、困ったように笑うサクラが居た。
外に出て少し歩かない?とサクラに言われて、人気のない道を三人でゆっくり歩いている。
――外に出よう、と言われたことは良かった。
普段なら家に上げているけれど、…流石にあの部屋の状態は殺風景と言って逃げれるようなものじゃない。
「、名前!」
するとナルトに名前を呼ばれた。
足を止めてナルトを見る。
「ごめんってばよ…!」
バッと下げられた頭が、また直ぐに上がる。
「俺ってば、…俺ってば本当にごめん!サクラちゃんは俺らのことを思ってしてくれたのに…それに気づかせてくれた名前に直ぐにありがとうって言えなかった」
本当にごめんってばよ…!と再びナルトが頭を下げる。
サクラを見ると、眉を下げて笑って、私はさっき謝ってもらったから、と言う。
ナルトの肩に手を置いた。
「ナルト、頭上げて…?」
「名前…」
「私も、頬叩いちゃってごめんね。痛かったよね」
「い、痛くねェってばよ!全然、へっちゃらだ!」
安心して嬉しそうに笑ったナルトを見て、薄く笑む。
「ねえ、私、お腹減っちゃったわ!何か食べない?」
「あ!じゃあ一楽のラーメン行くってばよ!」
「アンタ好きね、ラーメン。そんなにラーメンばっかり食べてたら、お腹壊すわよ」
「大丈夫大丈夫!」
――ねえ、と。
「ごめんね、私、用事があって…二人で行ってきてくれないかな」
「え、そうなの?じゃあ…そうね、そうするわ」
「名前、また明日な!」
「――…、…ばいばい」
歩き出した二人の背中。
夕日が沈む方に向かっていって照らされている。
私は二人とは反対側に向けて歩き出す。
暖かい陽射しはなくなり、冷たい影が身体を覆った。
――ナルトとサクラと分かれて家に戻ってきた私は最後の荷造りを終えた。
そうしてリュックを背負って家を出たところで、足を止めた。
――サスケは…もう、里を出ていってしまったかな…。
「……、……」
すると近くの木が鳴った。
驚いてそっちを見ると同時に、誰かが前に降り立つ。
「っ、お前…」
「――…サスケ…」
110622.