「へえー、名前って案外そういうのに鋭いんだ。何て言うか意外ねー。中忍試験の前から気づいてたんでしょ?」
「うん、そうだね」
「何で気づいたんだ?」
「うーん…見ていたら分かった、…かな」
私の答えに、いのとキバが思い出すように首を傾げる。
私はにこっと笑顔になった。
うん、見ていたら分かるよ。
紅先生はアスマ先生とあまり目を合わせないのに、アスマ先生が見てない時はちらっと何回も見てる。
アスマ先生は逆に紅先生をよく見ていたから。
「げほっげほっ」
「名前、大丈夫?」
「…うん、大丈夫だよ。ありがとう」
「そう、…それにしてもアスマ先生もやるわねー。紅先生、結構美人だし、上忍だし…案外いいとこ狙ったのね」
いのの言い方が面白くて、思わず笑った。
するとシカマルが私を見て、
「いや、いのの言い分もあながち間違いじゃねェぜ。だって…なァ?あのアスマがだぜ?」
「アスマ先生は素敵だよ」
「な゛っ、…名前ってああいうタイプが好きなのか?」
「キャ、キャン!」
「名前、年上好きなの?あ、そういえばヒナタのお兄さんとも仲良いみたいだし」
「…あ、ああ、ネジさん…」
昨日の惨劇、…もとい、昨日のネジさんとの会話諸々を思い出して思わずどもった。
すると何故かいのが目を輝かせて、
「もしかして名前、ネジ?のことが好きとか?」
「え」
「マ、マジかよ!…名前、アイツはやめとけよ。あの白眼で何見てるか分かんねェからな」
「げほっげほっ」
「何言ってんだよ、キバ」
「シカマル、お前は思わねェのかよ。ネジって絶対ェムッツリだぜ」
「はぁ…ったくめんどくせェな」
「ほらな、否定しねェ」
「げほっ、げほげほっ」
「ちょ、ちょっと名前、大丈夫?水持って来るわ!」
や、やめてくれ、キバ…!
「大丈夫かよ名前。やべェな、ネジの呪いか?」
だ、だから…!
心配そうに背中を叩いてくれるのはありがたいけれど、それ以上何かを言われたら、危ない…!
「――はい、名前」
「あ、ありがとう、いの…」
いのが山中花屋のカウンターから家の中に入り水が入ったコップを持ってきてくれた。
息を落ち着かせて、飲む。
乾いた喉にひやりとした。
「…でも、年上が好きならカカシ先生とかは?名前、七班の中でも特に先生と仲良いじゃない」
「ああ…」
そこでふと思った。
カカシ先生って彼女とか居るのだろうか。
私が思うに、あの口布で隠された中はとても美形だと…。
「って、七班を思い出したらムカついてきたわ!名前!あのデコデコ、サスケ君にちょっかい出してない?!」
「デコデコって…サクラ、だよね」
確かそう呼んでいたし…。
それにしてもサスケ、とんだフラグメーカーだ…。
――夜になり、家に戻ってきた私は、テーブルを見て、目を閉じ、印を結んだ。
閉じていた目を開くと、テーブルは消えていた。
110621.