――あの試合の後、アイツの隣に暗部が現れた。
そして一緒に消えて、――その時からアイツは消えた。
演習場に行っても居ない、カカシに聞いて、家に行ってみても居ない。
何かあったことは確かなのに、何があったのかは分からない。
火影だけは分かってるみたいだったが、担当上忍のカカシですら教えられないらしい。
「ぐ、ァ…っ」
呪印が痛んで、首元を押さえながら荒く息をする。
そんな時前でザッと音がして、クナイを構えかけて――、
「サスケ、大丈夫?!」
「――…っお前、…っ!」
そこに居たのは名前で、俺の呪印を見て驚いていた。
走り寄って来て膝を折ると、俺の頬に手を伸ばす。
その右腕を引き寄せて、コイツをきつく抱き締めた。
「何処行ってた…!ウスラトンカチ…!」
え、とか、ああ、とか意味の為さない言葉を繰り返すコイツは少し黙ると、
「…あの、サスケ、この一ヶ月って何してた…?」
「…カカシと修行だ」
「…修行。カカシ先生と。うん、なるほど」
「………………」
何に納得したのか分からねえがうんうんと頷くと、けれど直ぐに俺の背中を叩いた。
「サスケ、私行ってくるよ」
「………………」
「…あの、ええと、い、行ってくるよ!」
「………………」
「えーっと…」
…別に俺が離したくない訳じゃない。
ただ、…何だ、その…腕が離せねえだけだ。
「…サスケ、この一ヶ月の間に何かあったの、かな…」
「…………お前が、居なかっただろ」
「え、うん、居なかったけど…それがサスケに、ええと、何か、ううん…痛たたた!ギブギブ!」
本気で分かってねえコイツに、手の力を強くした。
そしてぱっと離す。
「ええと、その…あはは、何かごめんね?じゃあ私、行ってくるよ」
「…待て、俺も行く」
「サスケはサクラを助けてあげてくれないかな。もうすぐあの砂も取れるだろうし」
「…お前は」
「私よりサスケの方が良いんだよ。…サクラを抱えるのもそうだし、まあ色々とね」
「…分かった」
110514.