――爆音が轟いて、破裂するように爆風が吹いた。
ギジ・セイドが「居た」場所を中心に舞っていた、白く埃を含んだ風。
それが自然に薄れてきた時、爆煙の代わりに――、
「…が、我愛、羅…」
爆煙の代わりに見えたのは、薄茶色をした、砂だった。
――ギジ・セイドの元へ走っていた次の瞬間、目の前にいきなり我愛羅が現れた。
とりわけ大きな爆音が聞こえるとほぼ同時に、砂が私と我愛羅の周りを包んで。
さらさら、と優しい音を聞かせながら砂が我愛羅の背負っている瓢箪へと戻っていく。
「…お前は…死にたいのか」
すると腕を組みながら真っ直ぐに私の目を見て、我愛羅が聞いてきた。
――「死」。
無意識にか、視線が、もう姿は無いギジ・セイドが横たわっていた場所に行く。
眉を寄せ下げて、手を握り締めた。
「ううん、違う…よ」
「………………」
「ありがとう、我愛羅…」
すると我愛羅は何も言わずに、砂になってギャラリーへと戻っていった。
「………………」
私の前には、誰も居ない。
ハヤテさんや火影さんが少し遠くに居るけれど、私がついさっきまで戦っていた彼は、姿なんてもう、無いんだ。
残っているのは、血。
そして血のついたクナイが、少し先に転がってるだけ。
「――名前」
「…火影様…」
「何があった?」
「……火影様、私…、私、探さなきゃいけないみたいなんです」
「………………」
何を探さなきゃいけないのか、分かってくれたらしい火影様は静かに眉を寄せる。
――私に心当たりは無い。
それなら、私の知らない私に、答えはある。
小さい頃にずっと探してた、私というものに。
「また、探してきます。…何だか今度は、きっと、見つけられる気がするんです」
110509.